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売り上げ考察に微分積分 エディターズレター(2021年6月16日配信分)

※この記事は2021年06月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

売り上げ考察に微分積分

 大学受験は、国公立の後期日程という“ザ・土壇場”な状況で、いきなり文系に転向。というワケで、私は基本、理系タイプだと思っています。

 つくづく理系だなぁ、と思うのは、エクセル上に並んだ数字をみると近似曲線を作りたくなるところです。投資家の方は、ピンとくるでしょうね。隣接する数字の因果関係を導くために、最大6次の関数で関係性を表現。「うわぁ、こんな関数、グラフになるんだ~」とムダに感動し、その関数に実際の数字を代入して出てくる答えが近似値であることにまた感動し(当たり前なのですがw)、グラフの傾きから未来を予測するのです。例えば、「この傾きが続くなら、3つ先の数字はこのくらいなのか?」なんて予測です。関数を傾きに落とし込むのは、つまるところ微分ですね。

 投資にまつわる近似曲線は、直近の未来を予測するために極めて有効だと思います。ですが「WWDJAPAN.com」の場合は、ちょっと先の未来を予測するツールなのかしら?と思っています。具体的に言うと、例えば毎日のPVを並べて近似曲線を作るのは、あんまり意味のあることのように思えません。デイリーな分析においては、例えば下記のような大ヒット記事はイレギュラー。イレギュラーの影響が色濃い数字で近似曲線を作っても、その傾きは直近の未来を正しく予測していないでしょう。

 ただ、そんな大ヒット記事というイレギュラーも、1カ月という単位で考えるとどうでしょう?およそ1000ある記事の1つとなり、イレギュラーの平均(この場合の平均は、平均値なのか、中央値なのか、最頻値なのか、それとも標準偏差を考えるべきなのか?などを考えるだけで半日は過ごせます、ワタクシw)との乖離は、そんなに目立たなくなるでしょう。つまり毎月のPVを並べて近似曲線を作れば、その傾きは、今の媒体力をある程度反映していると考えられます。来月、3カ月後、半年後の「WWDJAPAN.com」のパワーは、ある程度予想できるのです。

 ここにデジタルマーケティング部が提示するPVのノルマ(笑)、もとい目標値をつないだグラフを加えて、月次PVの近似曲線と重ねると、「どの月は、もっと頑張るべきで」「どの月は、それなりに頑張ればいいんだ」という未来も見えてきます。目標値のグラフが近似曲線を上回っていたら、頑張らないといけない。下回っていたら、そこそこ頑張れば良いってな具合です。2つのグラフが交差して生まれた図形の面積、つまり積分値がデカい場合は、「めちゃくちゃ頑張らないといけない」か「そんなに頑張らなくても良い」時です。私はすでに「こりゃ、9月は休めないな……」とハラを決めました。積分で夏休みを決める男です(笑)。

 同様に近似曲線を描き、微分した傾きから未来を、積分した面積から注力の度合いを予想する考え方は、皆さんに応用できると思うのです。月次の売り上げから曲線を描き、それを使って微分・積分して~、という分析、皆さんは挑戦しているでしょうか?日々の売り上げを前年同日、前日、前年同月などと比較している以上の潮流が見えてくるかもしれませんよ。例えば目標値との乖離が大きい場合は、新規採用なんて考えにもなるかと思います。オススメです。

 文系のアナタには、「東大の先生!文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!」(かんき出版)をレコメンドします。微分と積分、それを理解するための数列と余弦定理、そして、それらの使い方なら1週間で理解できるようになりますよ。

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