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人を想うテクノロジーを取材しよう エディターズレター(2021年3月29日配信分)

※この記事は2021年03月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

人を想うテクノロジーを取材しよう

 オルビスは昨夏、通販向けの出荷ラインに330台の無人搬送ロボットを導入しました。配送センターでは、この330台の無人搬送ロボットがまめまめしく(実際、映像を拝見しました。本当にまめまめしく、微笑ましいのですw)集荷、検査、梱包会場までを最適なルートで自走。これにより、出荷能力は昔の出荷ラインに比べて1.3倍となり、結果、人員は27%、コストは18%削減できたと言います。

 同社はこのシステムに、「T-Carry System」という名前をつけました。T-CarryのTは、TreasureのT。つまり、「お宝を運ぶシステム」というワケです。自分たちが作る商品へのプライドや、お客さまへの思いが垣間見えますね。330台の無人搬送ロボットがあるにも関わらず、出荷能力が1.3倍にしかならなかったこと(いや、スゴいことだと思うんですよ、実際)、1時間あたり1800から2400件にしか増えなかったことに「そんなものか」と思う方もいらっしゃるでしょうか?「そんなもの」になったのは、商品のピッキングや最後の梱包は引き続き、人の手に委ねたからです。つまり無人搬送ロボットは、指定の場所までカゴを運ぶと、スタッフから製品を受け取り、次の場所まで向かいます。製品の受け渡しに人の手を介在させたのが、330台の無人搬送ロボットが右往左往するにも関わらず1.3倍の能力アップにとどまった“原因”でもあるのですが、それもまた商品へのプライドとお客さまへの思い。なにより他社のテクノロジーとの“差別化”になりました。そして梱包の最後は、やっぱり人の手で、製品の正面を箱の上部に向けてパッキングするそうです。大切な製品だから、100%自動化したくないんですね(笑)。

 そして同社は今、この330台に名前をつけたり、メイクを施したりを検討しています。ここまで来ると、「オルビスの人たちって、なんて“いい人”なんだろう!」って思いませんか(笑)?実際、私がお会いしたご担当者は本当に“いい人”でした。話を聞くと、そもそも「T-Carry System」の開発は、DXに伴う物流クライシスという課題解決のためにスタートしたそうです。出荷量が増え、スタッフの作業量が増えていたのでしょう。

 とここまで来ると、なんだかこの「T-Carry System」、あらゆる面で「人を想うテクノロジー」だと思いませんか?開発秘話がヒューマン、ロボットの動きもヒューマン、完全に自動化しなかったのもヒューマン、名称もヒューマン、ネーミングライツやお化粧という今後のプランもヒューマン。「あぁ、ビューティ業界にいてヨカッタ!」そんな風に思っちゃう物流であり、テクノロジーです。

 この「人を想うテクノロジー」、今年のキーワードにして取材してみようかな?他とは違うコンテンツになりそうだし、共感してくれるクライアントが多くてタイアップが決まりそうだし(笑)、何より読者も“自分ごと化”しやすいから読んでくれそうな気がします。

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