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ナイキの人種差別を告発するアカウントが出現するも数日で削除される

 ナイキ(NIKE)社の現役従業員および元従業員によって構成された匿名の集団がインスタグラムに“Black at Nike”というアカウントを開設し、同社で起きている差別行為を公表したが、開設からわずか数日で削除された。

 同アカウントは、BIPOC(black, indigenous and people of colorの略で、黒人、先住民および有色人種の総称)の人々がナイキ社で差別された体験を投稿するよう呼び掛け、開設から一晩で8600のフォロワーを獲得していた。

 白人女性で現役のバイス・プレジデントが数年前の社内会議でプロテニス選手のセレーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)を「一部の女性から見たら恐怖の対象」だと形容したというエピソードでは、「(一部の女性から見るとセレーナは)美しいと思えないからあこがれの対象にならない。だから(2016年に開催された)リオデジャネイロ・オリンピックでは別の選手をサポートした。その選手らは白人で、セレーナと実力を比較するとかすむような人たちだった。それを見て私たちは見た目の美しさなのか勝利を応援しているのかが分からなくなってしまった」とつづられている。この女性役員は別の会議でも、約60人の前でセレーナ選手について同様の発言を繰り返したという。この投稿には一晩で600以上もの「いいね」がつけられた。

 アカウントを管理する集団Black at Nikeはアカウント削除前に、米「WWD」の取材依頼に対して「投稿されている体験談は私たちのものではない。これらに関する発言はインスタグラムに投稿した76の投稿を通して語られるべきものだ」と回答した。

 アカウント開設の目的は、体験談を共有することで現役従業員や元従業員らがナイキ社で働く中で「差別的な言動によって付けられた傷を少しでも癒す」手伝いをすることだという。またアカウント管理者は、黒人や有色人種の従業員に対しての接し方は、同じく黒人や有色人種の消費者への接し方と同様にすべき時代が来たという。「ナイキ社は、本社や店舗で日々繰り返されている人種差別からもはや目をそらすことはできない。いかなる形でも人種差別の肯定は人種差別である」と言う。

 ナイキ社のスポークスマンは、「ナイキ社の価値観やポリシーに反することが起きたら声を上げるよう全従業員に促している。告発された事案については調査が済んでおり、当社のポリシーに違反する内容が見つかった場合には、必要な措置を講じる」とコメントしている。同アカウントを削除されたことについては、「アカウントの所有者に関する情報も、なぜアカウントが削除されたかについても当社が知るところではない」とコメントしている。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中