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黒人女性向け雑誌社の従業員たちが差別を告発 経営陣の即時退任を求める

 黒人女性向け米ファッション&ビューティー雑誌「エッセンス(ESSENSE)」を展開するエッセンス コミュニケーションズ(ESSENCE COMMUNICATIONS INC.)で、役員らによる黒人の従業員への差別やセクハラが横行していたことを告発する手記がネットで公開され、物議を醸している。

 「『エッセンス』の真実」と題した匿名の手記がブログサイト「ミディアム(MEDIUM)」に投稿されたのは6月最後の週末だった。手記を書いたのはエッセンス社の現役従業員および元従業員らで、“匿名の黒人女性”と名乗っている。「黒人女性に捧げられたかつての高尚なメディアは、文化的そして企業的な強欲さと、職権乱用によって乗っ取られました」と書かれた手記の中で、オーナーのリシリュー・デニス(Richelieu Dennis)と、役員会のメンバーで元最高経営責任者(CEO)のミシェル・イーバンクス(Michelle Ebanks)、ジョイ・コリンズ・プロフェット(Joy Collins Profet)最高執行責任者、モアナ・ルー(Moana Luu)=チーフ・コンテンツ・オフィサーの即時退陣を求めている。

 これに加えて、スポンサーのAT&Tやコカ・コーラ(COCA-COLA)、チェース バンク(CHASE BANK)、フォード(FORD)、マクドナルド(McDONALD’S)、プロクター&ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)、ウォルマート(WALMART)、ワーナー メディア(WARNER MEDIA)などに対して直ちにエッセンス社との契約を破棄し、また新経営陣が就任するまで新たな契約を結ばないよう訴えている。

 手記の中では、同社の従業員の80%を占める黒人女性が、賃金の不平等やセクハラ、企業内いじめ、脅迫、肌色主義および階級主義によって体系的に抑圧されていることや、過去2年の間に数十人に上る才能ある黒人女性が不当に解雇されたか、会社を辞めるよう強制されたと主張する。

 また、2018年にタイム社(TIME INC.)からエッセンス社を買収したデニス=オーナーについては社内行事中のセクハラ行為や、妻のマーサ・デニス(Martha Dennis)を人事のトップに据えることで露骨な利益相反行為に及んだこと、従業員や協業相手に対して強制的に秘密保持契約書へのサインを求め、疑問を呈した従業員を脅迫するなどの行為も告発されている。

 手記が公開された際にエッセンス社は「ブランドの信用を失墜させ、個人を攻撃する根拠のない行動」「対応すべき訴えは起きておらず、非難されるようなことが起きているという証拠もない」と即座に否定した。しかしその2日後には告発の事実確認を開始した。米小売企業のターゲット(TARGET CORP.)から6月29日にチーフ・グロース・オフィサー(Chief Growth Officer)として着任したばかりのキャロライン・ワンガ(Caroline Wanga)が暫定CEOとしてこの調査の指揮を執る。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中