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コレットのサラと話して考えた 旅するストアの面白さ エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

コレットのサラと話して考えた 旅するストアの面白さ

 今週、渋谷パルコの再開業を祝したトークイベントで司会を担当しました。登壇者は、パリからコレット(COLETTE)のサラ、ベルリンから「ハイスノバイエティ(HIGHSNOBIETY)」のファウンダーであるデヴィッド、そして東京からは「2G(ツージー)」のファッション・ディレクターである小木“POGGY”基史さん。登壇といってももちろんオンラインです。

 コレットとはパリに店を構えていたコンセプトストアで、2017年11月に閉店するまでの約20年間、ファッションとカルチャーの情報発信地でした。特に2000年代に入ってからはファション関係者で、パリに行ってコレットを訪れなかった人はいなかったでしょう。訪れたとしても、大混雑で入ることができなかったということはあり得ますが。サラのフラットな視点により選ばれた情報がギュッと集められており、行けば何かしら新しいものや面白いものに触れられる場所でした。

 今回のイベントの話題の中心は、そのコレットの閉店までを追ったドキュメンタリー映画について。この映画は今ポップアップストアを併設しながら世界を回っており、秋には渋谷パルコにやってきます。

 つまり、コレットという店はパリにはもうないけれど、コレットという存在は世界を転々と移動しながら続いているのです。ロンドンはセルフリッジズ、ニューヨークはキス、パリはメゾン キツネというように、相性のよいストアの一部を間借りして期間限定のストアを開き、映画も近くで上映します。共感する人が集まり、その土地の感覚を吸収することで少し変容しながら、モノとコトがシェアされ続けているわけです。その話を聞いて思いました。なんて幸せな仕事だろう!画面の向こうのサラが永遠の旅人、スナフキンに見えてきましたよ(冗談です)。

 こういうことが実現するのは、サラという、そしてコレットという強烈な個性があるから。しかもそのブランディングの核をなすのが「サラのアンテナに引っかかるその時々の新しいことやモノやコト」という、時と場を問わないフラットな価値だからなんですけどね。

 世界を旅する神出鬼没のポップアップストア。自分が今からファッションを志すならこれがいいな、と思います。コレットがオープンした1989年にはインターネットがまだ普及しておらず、コレット自体がファッション&カルチャー好きの人にとっていわばインターネット的存在でした。 “今面白いもの”の検索結果が店内に溢れているとでも言いましょうか。今はその役割をSNSが担っているから、店は1カ所にとどまっている必要はないのかもしれませんね。

 好きなアーティストの舞台を心待ちにするような感覚で、コレットが映画とともに秋に日本にやって来るのを楽しみに待ちたいと思います。

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