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「ポパイ」編集長からユニクロに転じた木下孝浩が考えるLifeWearの価値 ユニクロの未来を担うキーマンに聞く VOL.2

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 「WWDジャパン」4月27日&5月4日号では、転換期にあるユニクロを特集した。長年、同社の最大の課題は柳井社長の後継者問題と言われ続けてきた。その問題への答えは、「柳井流」(ヤナイズム)を継承しながら次世代型の「チーム経営」にシフトすることだ。各領域のキーマンが柳井社長のDNAを受け継ぎつつ、人々を巻き込みながらより速く、より創造的にユニクロを飛躍させようとしている。雑誌「ポパイ(POPEYE)」編集長を務めた木下孝浩氏が、「ユニクロ」の執行役員、クリエイティブディレクターに転身したのは2018年のこと。発表を受け、アパレル、雑誌、広告などの関係者はかなりザワついた。木下氏に、「ユニクロ(UNIQLO)」のクリエイティブをどう進化させるのかを表のテーマとしつつ、編集力・キュレーション力を持つ編集者のセカンドキャリアの可能性を裏テーマとして話を聞いた。

――入社のきかっけは?柳井正ファーストリテイリング会長兼社長との出会いや、「ユニクロ」に対して抱いていた思いとは?

木下孝浩グローバルクリエイティブラボ東京 クリエイティブディレクター(以下、木下):「ポパイ」時代に展示会にうかがったときに、柳井社長とたまたまお話する機会があった。柳井社長は1970年代から「ポパイ」を読まれていて、そのころのオリジナルの雰囲気を僕が作った「ポパイ」に感じられていたようだ。それで、どんな人が作っているのだろうと興味をもっていただいた。ブランドとしての「ユニクロ」に対してはもともと興味を持っていた。というのも、「ポパイ」でスナップをすると、みんな「ユニクロ」を着ている。特に、若い子や海外の人々は「ユニクロ」をすごくポジティブに着こなしていて、時代の変わり目なんだなと感じていた。かつて日本人や若い子は洋服にお金をかけている人が多かったが、ファッションも好きだしオシャレも好きだけど、それだけがすべてじゃないという人々が増えている。多分、欧米の方がその感覚が強い。そういう人たちが選ぶのが「ユニクロ」で、いいブランドなんだろうなと。それでお店に行ったり、プレスの方と話したり、あらためて柳井社長とお話する中で、企業としても魅力を感じるようになった。ただし、雑誌やカタログを作るために呼ばれたのだったら、入社していなかった。柳井社長から「もっとユニクロを編集してください」と言われ、「ユニクロ」というブランドを編集していくことに関わることができるならすごく面白いし、トップがそういった考えを持っているのがかっこいいなと思って。編集者の役割は、単に雑誌を企画して、写真を撮って、原稿を書いて、編集して、ということだけではないと評価していただいたわけで、その期待に応えたくなった。

――木下さんのユニクロでのミッションと、入社以来、行ってきたことは?

木下:クリエイティブを軸に部門を横断した働き方をしている。マーケティングの分野ではテレビCMやインストアビジュアルなどの広告、(エキシビジョンの)「LifeWearデイ」のようなイベント、「LifeWearマガジン」の編集もその一つだ。外からは雑誌作りやイベントを中心に仕事をしているように見えるかもしれないが、それは10あるうちの1~2ぐらい。R&D(リサーチ&デベロップメント)でコンセプトや服のデザインの監修も務めており、今まさに2021年春夏シーズンの服作りが始まっている。デザイナーやMDと一緒になって、1点ずつサンプルを見ながら素材やデザイン、ディテール、商品構成について毎日のように話している。「UT」チームともコンテンツ開発やデザインの打ち合わせを毎週行っている。服を企画する際、1から服の持つ魅力や価値を商品情報にしていくという「服の情報化」にも、マーケティング担当と一緒に取り組んでいる。服の魅力をデジタルで発信していくにはどうしたらいいのかも考え実行しているし、新店などのお店のあり方についても考え、出店や設計のチームと一緒にお店作りにも参加している。クリエイティブというのはどんな仕事にも必要であるため、自分の担当範囲が広すぎると感じることは全くない。むしろ、広告がよくても店がつまらないとか、店がよくても服が悪いとか、服がよくてもコミュニケーションが残念ということではブランディングとして成り立たない。クリエイティブという立場で全てに責任を負うべきだと思っている。

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