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ホントに今更、このお手紙の胸の内 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年1月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ホントに今更、このお手紙の胸の内

 今回は今更ながら改めて「なぜ『Social and Influential』なんてエディターズレターがあるのか?」についてお話しようと思います。「静岡新聞」社会部出身、ゆえに今もファッション通して見つめているのは社会のつもりで、「社会はファッションを変え、ファッションは社会を変えうる」と信じ生きている、私の原体験のお話です。

 もう、今から10年以上も昔になるんですね。時は09年1月のミラノメンズまで遡ります。09年1月のメンズは、08年夏に発生したリーマン・ショック後、最初のコレクション。ことラグジュアリーは、「こんなに景気が悪い中、一体、何を提案すれば良いの?」というムードに満ちていました。

 そんな中、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は、メンズの全ルックにニット、もしくはジャージーを使ったスタイルをランウエイに送り出しました。柔らかなカシミヤニットはもちろん、レザーブルゾンさえ袖口、首回り、もしくはライナーにニット。本当に全ルック、ほとんどのアイテムにニットやジャージーが使われていたんです。

 ショーの後、当時のクリエイティブ・ディレクター、トーマス・マイヤー(Tomas Meier)に話を聞くと、「リーマン・ショック以降、男性はストレスの多い環境にさらされている。こと『ボッテガ・ヴェネタ』のようなラグジュアリー ブランドの顧客は、トップビジネスマンだからなおさらだ。だから伸縮自在で動きやすく、温かく、包み込まれる心地よさを提供してくれるニットやジャージーを使いたかった」と話します。感動しました。そして、「ボッテガ・ヴェネタ」が提案したジャージーやニットを使ったジャケットは、あらゆるマーケットに広がり今に至っています。「社会はファッションを変え、ファッションは社会を変えうる」。私の信条は、このショーで確固たるモノになったと言っても過言ではありません。

 だからこそ、ファッションやビューティの世界は、もっと社会とつながって欲しいのです。そんな願いを込め稚拙ではありますが、こ「Social and Influential」には僕なりの社会的視線を盛り込み、お届けしたいと思っています。

 さぁ、もうすぐ20-21年秋冬コレクションが本格スタートします。今回は、どんな風に社会とリンクした洋服が出てくるのでしょう?この視点で見ると、「高すぎて買えない」とか「素材やテクニックが高額すぎて参考にならない」と興味を失いかけていたラグジュアリー ブランドのランウエイも、きっと面白く見えますよ。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

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