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「パーパス・ドリブン」「大義ドリブン」の覚悟 エディターズレター(2020年12月10日配信分)

※この記事は2020年12月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「パーパス・ドリブン」「大義ドリブン」の覚悟

 下のリンク1本目にある「クロエ」のCEOが主張する「パーパス・ドリブン」という言葉、私は「大義ドリブン」と呼んでいますが(ネーミングセンスw)、「ほぼほぼ同意かな?」と思いながらインタビュー記事を読みました。リカルドCEOが言うところの「パーパス」、私が「大義」と呼ぶ“意味”のないビジネスは、正直、もうあんまりやりたくないんです。だって単純に、「コレって、なんのためにやってるんだっけ?」と言う目的なき状態に陥りやすいから。こんな状態の人や組織は、案外少なくないと思っています。

 私自身の課題は、その「パーパス」もしくは「大義」と、そこから生まれる行動指針などを、組織の中でみんなとシェアできているか?です。記事中の「『クロエ』の従業員は、ブランドの掲げる重要な“パーパス”を熱心に受け入れているという」との一節は、本当に素晴らしく羨ましいくらいです(笑)。私の「大義」とは、簡単に言えば「ファッション&ビューティ業界が、エキサイティングであり続けるためのお手伝い」で、それは少なくともある程度大勢とシェアできているでしょう。でも、「大義」から生まれる行動指針は皆に伝えきれていないかもしれないし、反対に皆の行動指針は把握しきっていない。ゆえに、皆は「なぜ、ムラカミはあんなコトに?」と思っているかもしれないし、私も「ナゼ、そんなコトを!?」なんて思っちゃうケースは、正直に言えば時々。こんな時は行動指針のすり合わせ、いや、相互理解が必要だと感じます。

 「すり合わせ」と言う言葉を否定したのは、その言葉が含む「調整する」と言う概念は必ずしも必要ないなぁ、と思ったからです。基本、大義が同じなら、行動指針は結構違っても構わないと思っています。もう絶対的な「正解」なんて存在しない時代です。個々が「私の正解」を決めて「あなたの正解」も理解すれば良くて、「私の正解」はいつでも自由に変わって良いのだと思っています。

 「正解」なんて存在しない時代ですから、「パーパス・ドリブン」や「大義ドリブン」の真逆であろう「データ・ドリブン」と言う概念には消極的です。データは見ますが、「大義ドリブン」を深めるための材料だったり、「大義ドリブン」を検証するための手段だったり程度です。そこから機械的に絶対的「正解」を導こうとは、正直これっぽっちも思っていません。「データ・ドリブン」は、絶対的「正解」を求める考え方で、正直、経験値を積めば誰がやっても同じでしょう。それはつまり「自分じゃなくても良い」「誰かがやっても変わらない」コトです。ん~、興味ないわぁ(笑)。

 「自分じゃなくても良い」ビジネスはしたくない、つまり「自分じゃなくっちゃダメ」なビジネスがしたいと思っているので、自分の「大義」が業界、もしくはユーザーの皆さんと大きく乖離しているのであれば、その時は身を引く覚悟です。その覚悟は、結構前から持ち続けている(つもり)だし、今、この境遇にある自分の「大義」がユーザーのニーズと乖離していないか?については、結構頻繁に内省しています。そもそもズレがヒドくなったら、いろんな方からのお声がけなどで確認できるニーズの減少は体感できるでしょうから、気付くだろうと思っています(笑)。

 シビアかもしれないけれど、自分らしくてエキサイティング。「データ・ドリブン」ではなく、「パーパス・ドリブン」や「大義ドリブン」ってそう言うコトですよね?

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