
良品計画の「無印良品」は8月10日、スキンケア発想のインナー“着るスキンケア”シリーズを発売する。婦人用はキャミソールやレギンスなど6型、紳士用はTシャツ2型の計8型を展開し、価格は1990〜3990円。全国で販売する。衣料品では同ブランドで初めて薬機法上の化粧品として登録し、「肌を保湿できる」といった効能表示を可能にした。
同シリーズは、島根県松江市のレーヨンメーカーと共同で開発した。潤い成分となるアミノ酸(グルタミン酸やトリプトファンなど)を配合したレーヨン繊維を採用。肌から蒸発する水分を保持しやすい環境をつくることで、肌の潤いを保つ設計とした。また、肌当たりを考慮し、一部に縫い目の凹凸を抑えた「M縫い」を取り入れた。

化粧品登録に伴い、従来の衣料品とは異なり、成分表示を記載した紙箱に1枚ずつ梱包して販売する。品質と衛生性の確保も目的とする。耐久性については30回の洗濯試験でも機能を維持したといい、「一般的なインナーと同様の耐久性と考えていただければ」(広報担当者)としている。
売り場はインナーコーナーで展開する一方、化粧品と並べて陳列し、同商品をスキンケアの1つとして訴求する。ボディークリームとの併用も提案する。今後はパジャマや靴下、枕カバーなどへラインアップを広げる計画だ。海外では2027年春から順次展開する予定で、各国の化粧品の制度に応じて、化粧品カテゴリーとして販売しないケースもある。
エビデンス重視
日常に溶け込むスキンケアへ

「着るスキンケア」という発想自体は新しいものではない。2015年に帝人フロンティアが「着用する化粧品」として“ラフィナン”を発売し、17年にはイオンのプライベートブランド「トップバリュ」が、味の素が保有するアミノ酸由来の化粧品成分を配合した生地を採用したインナー“「着る」スキンケア”を販売していた。ただ、齋藤陽司 良品計画 執行役員 衣服・雑貨部 兼 産地開発部 管掌によると、こうした先行事例は認識していたものの、今回の商品開発は市場動向を受けたものではない。
商品の構想自体は約3年前から進めていた。発売に当たっては、好調なスキンケアが追い風となった。“発酵導入美容液”などの認知拡大を受け、女性だけでなく男性にも購入者が広がっていることから、既存顧客への新たな提案として投入した。
一方で、近年市場が拡大するリカバリーウエアを意識した商品ではないと説明する。リカバリーウエアで訴求される作用について、「現時点では十分なエビデンスがあるとは言えない。われわれが作れば、ある種、安全な商品はお届けできると思うが、効果については確信が持てない」(齋藤執行役員)と述べ、科学的根拠を十分に示せない機能を前面に打ち出した商品開発は行っていないという。
同社が目指したのは、美容意識の高い人だけを対象とした商品ではない。高垣伊織 良品計画 衣服・雑貨部婦人インナー担当 カテゴリーマネージャーは「仕事や家事、育児に追われ、自分のケアが後回しになりがちな人や、乾燥や季節の変化による肌のゆらぎが気になる人など、忙しい毎日の中でも無理なく使っていただきたい」と話す。「肌に触れるものだからこそ心地良さにもこだわり、特別なケアではなく、日常の延長として取り入れてほしい」としている。
良品計画の2025年8月期のヘルス&ビューティー部門(スキンケア、メイクアップ、衛生用品、フレグランスなど)の国内売上高は、過去3年間でほぼ倍増し1000億円を突破した。売上高構成比は22%まで拡大しており、“敏感肌用シリーズ”の刷新や米ぬか発酵成分を用いた導入美容液などのヒット商品が成長を支えている。
全8型を紹介
商品は年間を通じて販売する。婦人用はバレエネックやレース付きデザインを、紳士用はクルーネックの半袖と長袖を用意。カラーは婦人用がオフ白や黒に加え淡い色合い、紳士用はオフ白と黒を展開する。