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新型コロナの影響が深刻なイタリアンブランドのジャパン社にアンケート 「今、できること」は3つ

 「WWDジャパン」は3月25日(小池百合子・東京都知事が週末や夜間の外出自粛要請の記者会見を開いた日)を締め切りに、イタリアンブランドのジャパン社やディストリビューターを対象に、新型コロナウイルスに関するアンケートを実施した。(この記事はWWDジャパン2020年3月30日号からの抜粋です)

 まず現状においては、ほとんど全てのイタリアンオフィスと工場が23日に閉鎖されたが、本国とのリレーションに問題はなく、日本の組織および店舗運営もテレワークや営業時間の短縮などは強いられているものの大きな混乱はないようだ。日本の店舗においては、自粛ムードに伴うトラフィックの減少などで売り上げは落ちているが、「営業できている日本と、ショップが開き始めた中国が大きな支え」。特に20日からの3連休は「顧客の来店が増えた」などの声が多く、トラフィックは日を追うごとに回復傾向が鮮明だった。ただ25日の不要不急の外出自粛を要請した会見で、28、29日は多くの商業施設が営業を自粛したため、回復基調が持続するかは不透明だ。

 2020年春夏の商品、商談に欠かせない20-21年秋冬のサンプルについては、イタリアの生産ラインが直前まで機能していたため、大きな混乱はない。ただ一部コラボラインは、航空便から船便での輸送に切り替えたため、発売が1カ月延期されるなど、若干の影響を与えている。問題は、20-21年秋冬の商品だ。一部ブランドはすでに「秋冬の納品は、若干遅れる見込み」と回答。ウィメンズに比して売り上げ規模の小さく、発表・受注・生産のタイミングが早いメンズにおいては、5月にお披露目予定だった21年プレスプリングを見送るブランドもある。イタリアでの生産再開が遅れると、問題は深刻化しそうだ。

 それでも各社は、「今、できることは何か?」を模索し、試行錯誤をスタートした。大きな流れは3つ。1つ目は、こんなときでもロイヤリティーの高い既存顧客に対するCRM(顧客関係管理)の強化だ。当面はデジタル施策、秋以降はリアルなプロモーションで「トラフィックに頼らず、顧客とのコミュニケーション強化を図る」ブランドが多い。商品を購入してくれた顧客へのスペシャルケアなども始まった。

 2つ目は、特に苦戦を強いられている店頭での販売員のモチベーション向上。いつも以上のキメ細かな提案を目指して個別に商品を提案するカスタマイズレターを送るなど、地道な努力を重ねている。気分転換や新たな発見を狙い、スタッフの店舗間異動や研修を実施するブランドもある。フランス系のメガブランドでは、スタッフのシフトを完全交代制(複数のグループに分け、時間・曜日ごとに総入れ替え)にすることで感染拡大を予防しながら、空き時間にeラーニングなどを導入する。

 3つ目はEC。日本で自社ECを持たないブランドは、オープンやリニューアルの前倒しに向けて始動。改めてECサイトやSNSをプロモートするなどのアクションがスタートした。

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