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「マイケル・コース」にキャメロン・ダラスやレッドベルベット、ドラマチックにNYコレを締めくくった「マーク ジェイコブス」 NYコレつれづれ日記 VOL. 5

 日々時差ぼけと寒さと戦うNYコレクション取材班ですが、気づけばあっという間に2020-21年秋冬ニューヨーク・ファッション・ウイークの最終日を迎えました。今季は「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」「トム フォード(TOM FORD)」「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」ら常連ブランドが不在だったに加え、「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」「ティビ(TIBI)」などがショー形式で発表しなかったせいか、ファッションウイークがかなり短いように感じています。そんな最終日はNYコレを代表する「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」から始まり、最後は「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」が華麗なるフィナーレを届けました。

「マイケル・コース」は眉毛を強調したヘルシーなメイクアップ

 最終日の朝は「マイケル・コース」コレクションのバックステージ取材から始まります。会場に着くとさすが「マイケル・コース」、豪華なモデルばかりです。中でもフレジャ・ベハ・エリクセン(Freja Beha Erichsen)はかなり余裕のある佇まいでベテランのオーラを醸し出していました。肝心のメイクですが、マイケルはナチュラルなメイクアップを好み、あるシーズンはすっぴんでモデルがランウエイを歩かせたことさえありましたが、今季も引き続き健康的なルックが印象的でした。ファンデーションは最小限にとどめ、アイライナーを目の周りにぼかすように入れて目元の陰影を演出し、チークにクリームカラーをなじませて血色感を出していました。でも実はコレ、リハーサルの前までは違うメイクだったんです。今回は会場が暗くて照明が真上から強く当たることで顔に影が出やすいことから、強めに入れていたシェーディングを血色感を演出するピンクのチークに変えたそう。こういう直前のハプニングもあるのがバックステージの醍醐味の一つ(!?)ですね。

レッドベルベットのジョイや
キャメロン・ダラス、
西内まりやがフロントロー

 バックステージ取材を終えて、そのまま「マイケル・コース」のショーを鑑賞。今季は“エクエストリアン(馬術)”や“ヘリテージ”からインスピレーションを受け、レザーのベルトやハーネスをアクセントにしたカシミヤのケープや千鳥柄のジャケット、ライディングブーツなどが登場。どれもクラシックでトラディッショナル、そして上品なムードが漂うアイテムでした。前シーズンのアメリカントラッドをテーマにしたコレクションに続き、マイケルはファストファッションの“悪”に気づき始めた若者に対し、どの時代でも着られるようなタイムレスなピースを打ち出しています。今季はそこに“シック”“コージー(着心地が良い)”で“イージー(着やすい)”がキーワードとして加わり、タイトなドレスやハイヒールは一切登場せず、着やすさ・動きやすさも重視したそうです。ランウエイを歩くモデルも豪華でしたが、フロントローもももちろんそうです。若い子に大人気のキャメロン・ダラス(Cameron Dallas)、K-POPグループのレッドベルベット(RED VELVET)のジョイ(Joy)、日本からは西内まりやが登場しました。

レッド・ベルベットのジョイ

キャメロン・ダラス

「マイケル・コース コレクション」ランウエイ

「マーク ジェイコブス」の
バックステージは100人以上の
モデルの支度でバタバタ

 続いて、「マーク ジェイコブス」のヘアメイクの取材へ向かいます。今回はモデルが90人以上、ダンサーが30人いるということで、全員分のヘアメイクをセットするのにバタバタしている様子でした。普通はショーが始まる3〜4時間前にモデルやスタッフが集合するのが普通ですが、「マーク ジェイコブス」は凝った演出を好むこともあり、8-12時間前が当たり前、今回も18:00と19:00(「マーク」はショーを2回、それぞれ別のお客さんに披露します)のショーのために、バックステージの取材は12:30に入りました。前回は61人全く異なるヘアメイクがとても印象的で「WWDビューティ」の表紙にもしましたが、今回は同じアイテムを使いながら人によって使い方を変えているそう。基本的には黒いアイライナーと赤のリップスティックを全員に用い、アイライナーをぼかす人もいればキャットアイにする人もいたり、リップも輪郭まできっちり塗るフルリップやティントのように中央だけに塗る人もいたそう。ダイバーシティー(多様性)が重視される今の時代において、みんな同じメイク、というのは通じなくなってきていますね。

「マーク ジェイコブス」のヘアメイク

「カルバン・クライン」がミレニアルズ向けに“映える”イベント開催

 「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」が2月13~15日に、ソーホーでポップアップイベントを開催するというのでお邪魔してきました。こちら、“CK ワン(CK ONE)”のアンダーウエアとジーンズ、香水の“CK エブリワン(CK EVERYONE)”の合同イベントなんですが、 “CK ワン”でこのようにカテゴリーを超えたキャンペーンを仕掛けるのは初めてだそう。1990年代にケイト・モス(Kate Moss)を起用し一世を風靡したCKのロゴが大人には懐かしいですが、ミレニアル世代にとっては新鮮!会場にはインスタ映えスポットを多数作り込んでいて、香水瓶やアンダーウエアに好きな文字や文章をプリントしてパーソナライズしてくれるサービスも支持されそうです。香水はパッケージに再生紙を利用したり、オイル使用を極力抑えるなど、今の時代の感覚に合わせた商品になっています。2月28日~3月31日には、渋谷スクランブルスクエアでも同様のイベントを開催するそう。

「トム ブラウン」がサムスンの
折りたためるスマホをデザイン

 「マーク ジェイコブス」のヘアメイク取材を終えて、今度は「トム ブラウン(THOM BROWNE)」とサムスン(SAMSUNG)のコラボイベントのために「トリー バーチ」がショーを行ったオークション会場、サザビーズ(SOTHEBY'S)へ。2月11日に発表したばかりの新作スマホ“ギャラクシー Z フリップ”は縦に折り曲げることができる画期的なデザインが特徴。それをトム・ブラウンがデザインしたということで、アイコニックなトリコロールのモチーフを外側に施したほか、画面の中のアイコンも「トム ブラウン」仕様になっています。スマホ以外にもイアフォンやスマートウオッチも登場し、3月発売予定とのことです。

ドラマチックなショーでNYFWを締めくくった「マーク」のマジック

 さて、ニューヨーク・ファッション・ウイーク最後のショー、「マーク ジェイコブス」の時間となりました。マークは以前大幅にショーを遅らせてエディターを怒らせたというエピソードがあり、以来きっちりオンタイムにショーを始めるため、30分前に会場に着くとすでに大勢のゲストが来場していました。日本からはけみおや松岡モナ、長谷川ミラ、けーしゃんらが呼ばれておりました。広大な会場の中に入ると、カフェのようにテーブルがいくつも並んでおり、テーブルを囲む椅子に座るスタイルです。19:00になった途端に会場が真っ暗になり、そこから爆音で音楽が流れ始めます。すると奥の方からモデルと一緒にダンサーが次々と異なる方向に歩き出し、踊り始めました。エモーショナルで時には激しい踊りで知られるコンテンポラリーダンスの振り付け師、キャロル・アーミタージュ(Karole Armitage)による演出です。右往左往に踊るダンサーの間をモデルが数人ずつに分かれて歩いてくるのですが、最初はどこに注目して見ればいいのか分からないほどインパクトのある演出です。洋服は過去、現在、未来の女性がテーマで、さまざまな年代のファッションをイメージしたルックが登場。柔らかなパステルカラーに染め上げた1960年代のAラインドレスやコート、70年代をほうふつとさせるパンツルック、さらに90年代を連想させるボディコンのバスチエとパンツは歌手のマイリー・サイラス(Miley Cyrus)が着用して登場しました。感情的な踊りと体の芯まで響き渡るような音楽が相まり、息を呑むようなドラマチックなショー。まるでランウエイショーを見ていることを忘れさせるのは、マークの“マジック”なのかもしれません。そんなドラマチックな演出で、マークはニューヨーク・ファッション・ウイークを締めくくったのでした。

けみお

「マーク ジェイコブス」のランウエイ

「マーク ジェイコブス」のランウエイ

「マーク ジェイコブス」のランウエイ

「マーク ジェイコブス」のランウエイ