
ネット通販やライブコマース、スマホ決済、ゲームなど、次々と世界最先端のテクノロジーやサービスが生まれている中国。その最新コマース事情を、ファッション&ビューティと小売りの視点で中国専門ジャーナリストの高口康太さんが分かりやすくお届けします。今回は「転売ヤー」を取り上げます。中国人の転売ヤーというとネガティブなイメージばかりが取りざたされていますが、実際には日本品と中国市場を繋ぐ越境ECのマーケッターとしての面も。見逃されがちな、そうした功罪の2つの面を解き明かします。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月15日号の転載です)
ポケモンカードで炎上、批判を集めた「中国人転売ヤー」
ポケモンカードの買い占めで、再び中国人転売ヤーに対する批判が強まっている。日本マクドナルドは8月9日、子ども向けメニュー「ハッピーセット」のおまけとしてポケモンカードを配布したが、転売目的とみられる購入者が殺到。カードだけ持ち帰り食事を廃棄する悪質な行為も見られ、炎上事件となった。ポケモンカードなどのトレーディングカードは小さくて軽いので国際郵便で安く配送できることもあって、転売商品の定番だ。米通販サイトのイーベイによると、日本から売られる商品の第7位に位置している(2025年4~6月)。
一方、中国への転売は中国のECに登録するハードルが高く、在日中国人が中心とみられる。転売価格は、米国向けが中心のイーベイで9000円弱、中国は閑魚で3000円強が相場。経済力の違いもさることながら、参入者の価格競争が起きているのがなんとも中国らしい。
古くは紙オムツや粉ミルクに始まり、水筒、医薬品、ガンダムのプラモデル、「シュプリーム」などの人気ファッションブランド、ゲームパソコン用GPU、ゲーム機「ニンテンドースイッチ 2」、そして今回のポケモンカードと中国人転売ヤーの買い占め問題は毎年のように話題となってきた。となると、転売ヤー・ビジネスは絶好調のように思われるかもしれないが、実は今、大きな曲がり角を迎えている。
転売ヤーの20年史
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