ファッション
特集 THE BUYER 20 第12回 / 全19回

バイヤー鼎談 いま求められる“買い付け以上”の役割とは?【THE BUYER 20】

有料会員限定記事

PROFILE: (左から)豊永譲司/「ユナイテッドアローズ」 メンズチーフバイヤー 李未玲/「レイ ビームス」バイヤー ⼤澤錬/「ミッドウエスト」バイヤー

(左から)豊永譲司/「ユナイテッドアローズ」 メンズチーフバイヤー<br />
李未玲/「レイ ビームス」バイヤー<br />
⼤澤錬/「ミッドウエスト」バイヤー
PROFILE: (とよなが・じょうじ)1983年神奈川県横浜市生まれ。文化服装学院卒業後、ユナイテッドアローズ入社。ウィメンズのショップからキャリアをスタートし、その後ディストリクト ユナイテッドアローズでセールスパーソンとアシスタントバイヤーを兼任。2013年からユナイテッドアローズのバイヤーを務め、現在に至る (り・みりょん)三重県⽣まれ。⼤学卒業後、ビームス⼊社。インショップや路⾯店などのショップスタッフからキャリアをスタートし、2023年から現職 (おおさわ・れん)1996年愛知県名古屋市⽣まれ。2022年に家業のミッドウエストに⼊社し販売員からスタート。その後メンズのバイヤーを兼任しながら、イベントの企画・⽴案、別注などを担当している PHOTO : AI OKUBO

セレクトショップを取り巻く環境の変化の中で、バイヤーの仕事はどのように変わっているのか?今回は世代も業態も異なる3人のバイヤーに日々の業務、買い付けを超えて広がるミッションについて語ってもらった。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月8日号からの抜粋です)

気温と価格にはますますアンテナを高く

WWD:まずは皆さんの仕事内容から教えてください。

大澤錬「ミッドウエスト」バイヤー(以下、大澤):国内外のデザイナーズを扱うセレクトショップ「ミッドウエスト(MIDWEST)」でメンズのバイイングを主に担当し、旗艦店である渋谷店ではマネージャーとして店を見ながら、別注企画やイベントの企画・立案も任されています。最近は、20代前半の若い世代のスタッフ教育にも力を入れていますね。

李未玲「レイ ビームス」バイヤー(以下、李):私は主に20〜30代がターゲットのウィメンズブランド「レイ ビームス(RAY BEAMS)」で、全店で取り扱うブランドの買い付け、別注企画に加えて、服飾雑貨の企画にも携わっています。

豊永譲司「ユナイテッドアローズ」メンズチーフバイヤー(以下、豊永):2004年にユナイテッドアローズへ入社しました。お二人に比べて、少し年上です(笑)。李さんと同じく販売員を経て、25歳の頃にバイイングアシスタント、28歳でメンズのドレス部門のバイヤーになりました。メンズのメインレーベルやドレスクロージングのスーツ、ドレスシャツのオリジナル企画も担当しています。バイヤー歴はアシスタントを含め15年ほどになります。

WWD:まず一番ベテランの豊永さんに聞きます。一昔前と今を比べて、仕事をする上で変化したことは?

豊永:やはり「気温」に向ける意識が大きくなったことでしょう。暖冬で昔のように「秋冬=重いコート」という前提は通用せず、今は3シーズン着られるものが主軸です。納期が大きな意味を持つようになりましたね。私が買い付けに行っているイタリアでも、現地のバイヤーやデザイナーが「どのタイミングで、何を提案するか」を強く意識しているのを見てきました。作り手も買い手も、「実需」を常に意識するようになっています。

李:私たちの店頭でも先物買いは減り、実需に合わせた購入が主流になっています。納期を外すと売れないので、例えば足元の8〜9月には「軽い羽織物が欲しいだろうな」といった具体的なシーンを想定して、リアリティーのある買い付けを心がけています。「今ちょうど欲しい」というジャストなタイミングで商品を届けることが重要ですね。

大澤:特にダウンやヘビーアウター、厚手のニットは、どれだけモノが良くても、日本の気温の中でリアリティーを考慮すると、買い付けに慎重にならざるを得ません。もちろんブランドのコレクションの意向に沿って「ルックとして必要だから」買うこともありますが、以前に比べると顧客の目がシビアになっている。だからこそ、今は3シーズン対応できるアイテム、例えば真夏以外に使えるシャツや軽めのアウターなどを意識的に選んでいます。冬ならインナー、春秋ならアウターとして着られる、といった提案ができるアイテムの方が現実的で、お客さまの声とも合致しています。

この続きを読むには…
残り3139⽂字, 画像10枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

Is AI GOOD?AIがもたらす「ゲームチェンジ」

「WWDJAPAN」12月1日号は、ファッション&ビューティ業界でいよいよ本格化する“AIゲームチェンジ“を総力特集しました。11月19日のグーグル「ジェミニ3.0」発表を契機に、生成AIは「便利なツール」から「産業の前提インフラ」へ変貌しつつあります。ファッション&ビューティ業界で浸透する生成AI及びAIの活用法とゲームチェンジに向けた取り組みを紹介しています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。