ファッション
特集 THE BUYER 20 第13回 / 全19回

「アンリミテッド ラウンジ」鵜飼健貴 “プロダクトファースト”で確固たる信頼を築く【THE BUYER 20】

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PROFILE: 鵜飼健貴/アンリミテッド バイヤー

鵜飼健貴/アンリミテッド バイヤー
PROFILE: (うかい・としき)1986年生まれ。名古屋の服飾専門学校を卒業後、セレクトショップ「アンリミテッド」に入社。販売スタッフとして約7年間経験を積み、顧客に商品の魅力を伝える力を培ったのち、バイヤーに就任 PHOTO : HIROMICHI TABATA
UNLIMITED LOUNGE

アンリミテッド ラウンジ

名古屋を拠点に展開するセレクトショップ「アンリミテッド(UNLIMITED)」で、10年以上バイヤーを務めてきた鵜飼健貴さん。掲げるのは「プロダクトファースト」というシンプルながら強い理念だ。知名度や流行を追うのではなく、着用時に実感できる良さを最優先に買い付けをする姿勢は、同店のスタイルを形作っている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月8日号からの抜粋です)

生地へのこだわりや地元産業を発信したいという思いで
実現したコラボレーション

名古屋の服飾専門学校に進学した鵜飼さんは、学生時代から服を買うためにアルバイトをするほどの服好きで、「洋服に助けられて格好良くなれる体験」がキャリアの原点だという。2000年代半ばにアンリミテッドへ入社し、約7年間の販売経験を経てバイヤー職に転じた。顧客に商品の魅力を直接伝えてきた経験は、現在のセレクトにおいても「言葉で説明できる洋服」を選ぶ基準につながっている。

取引ブランドの中で、鵜飼さんが特に思い入れを語るのは京都発の「レインメーカー(RAINMEKR)」。同ブランドの渡部宏一デザイナーは、彼が入社当初に出会った初めてのデザイナーであり、多くを教わった存在だという。こうした人との関係性を大切にしながら、既存ブランドを長期的に育てていくのが「アンリミテッド」の特徴だ。「突発的なヒットよりも、少しずつ積み重ねて伸びていく売り上げにこそ意味がある」と鵜飼さんは強調する。

特徴的なのは、生地への強いこだわりと探究心だ。名古屋からほど近い一宮市が日本有数の繊維産地であることから、実際に工場を訪ねて背景を学ぶ活動を続けている。23年には一宮・木曽川の機屋を訪れ、ビンテージのションヘル織機で織られる生地に出合ったことをきっかけに、同世代で信頼のおけるデザイナーたちによるブランド「シュタイン(SSSTEIN)」と「ヨーク(YOKE)」と連携。一つのフランネル生地を用いてブランドごとに異なるアイテムを制作し、産地での販売イベントを実現した。来場者はデザイナーや職人の解説を受けながら商品を手に取ることができ、通常のセレクトショップでは得られない「体験型の買い物」として話題を呼んだ。

また、近年は新たな挑戦も始まっている。8月に「アンリミテッド」の上のフロアに同店が運営するスポーツブランド「サロモン(SALOMON)」の直営店がオープン。ブランドの世界観を発信していく役割を担い、セレクトショップがグローバルブランドのパートナーとなる新しいモデルケースとしても注目を集める。

将来的な目標について鵜飼さんは「産地の生地を生かしたオリジナルブランドをいつか手がけたい」と語る。既存ブランドへの敬意を忘れず、デザイナーや機屋との協働によって「デザイナーズブランドでも使えないような特別な生地」を商品化する構想を描いているという。

「ちゃんとしたものを、ちゃんと伝える」。この言葉に凝縮される鵜飼さんの姿勢は、「アンリミテッド」が名古屋で各方面からの確固たる信頼を築いてきた理由を示している。地域に根ざしつつ、産地とブランド、顧客をつなぐバイヤーの存在が、セレクトショップの新しい可能性を切り開いている。

VOICES FROM BUSINESS PARTNERS

ブランドの方向性やムードを感じ取った上で、豊富な知識と確かな審美眼でセレクトし、独自のスタイルでお客さまに届けてくれる信頼できるバイヤーさんです。休みの日に全国の生地屋さんや織機屋さんにお店のスタッフさんを連れて見学に回っていたりと、洋服やモノ作りに対する愛溢れる方です。(ファッションPR会社 代表)

EDITOR‘S COMMENT

丁寧で誠実な話しぶりで「プロダクトファースト」や「ちゃんとしたものを、ちゃんと伝える」という確たる哲学を交えながら洋服への愛を語る姿に引き込まれた。わかりやすさやトレンドに安易に頼らず、作り手へのリスペクトを持って「語れる」服を集める姿勢に、「アンリミテッド」が信頼を集める理由が凝縮されている。(佐藤慎一郎/編集部記者)

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