
「『ミキオサカベ(MIKIOSAKABE)』が2日間限定でお化け屋敷を開く」。そう知ったのは、小雨が降る5月初旬の頃でした。ホラーイベントの企画集団・オバケンとのコラボ。2012年に設立し、東京・方南町の古民家を丸ごと使用した常設の謎解きお化け屋敷で知名度を上げた企業です。取材を決めたのは軽い気持ちからでした。どうせ、“それっぽい”イベントだろう。私はその程度に考えていたのです。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月16日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
いざ参らん、まがまがしい世界へ
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5月31日。東京・港区のとある古民家に、「WWDJAPAN」と同様の知らせを受けたファッション媒体の記者らが集まった。方南町の常設展と異なり、今回は場所が非公開のため詳細は書けないが、閑静な住宅街にたたずむ何の変哲もない一軒家であり、それがむしろ異様な雰囲気を倍増させている。お婆ちゃんの家に上がるように、カラカラと引き戸式の玄関を開けて奥の待合室に進み、物語が始まるのを待つ。すると突然、暗転してアナウンスが流れ出した。
——“獣の森”には双子の女猟師が住む不気味な家がある。彼女らは狩りをして豪華三昧の生活をしていたのだが、それが獣たちの怒りを買い、狩りができないように呪われて目を潰されてしまう。しかし、双子も黙っていない。二人は昔の勘を頼りに森に住む姫を捕まえて、家に閉じ込めた。姫を助けるために、森の小ネズミたちが立ち上がり、恐怖に怯えながら猟師の家に向かった。
つまりここが猟師の家で、記者一団は小ネズミ役。姫を救出するミッションに挑む。ギシギシときしむ階段で2階に上がる。上がった先にあったのは張り紙。待合室で事前に受け取った“mikioからの手紙”を読んで、2つの部屋に隠された2本の鍵を手に入れ、姫が幽閉される一室へ向かえとの指令だ。
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