ファッション
特集 東コレ2025-26年秋冬

まさかの「富江」降臨 「ペイデフェ」ショーはホラー漫画鬼才の伊藤潤二ワールド

朝藤りむデザイナーの「ペイデフェ(PAYS DES FEES)」は2025-26年秋冬コレクションをランウエイショー形式で発表した。今シーズンはホラー漫画の鬼才である漫画家・伊藤潤二とコラボレーションし、国内外ともにカルト的人気を誇る作品をモチーフ使いしたアイテムで、ブランド特有の奇妙でかわいいムードを後押しした。

会場は東京・茗荷谷の「病院スタジオ」。血液や毛髪をイメージしたオブジェやドクロを飾り、おどろおどろしい廃病院を演出する。ランウエイを歩くモデル全員が黒髪ロングヘアーのウィッグをかぶり、伊藤の代表作である「富江」に登場する富江を現実の世界で再現した。

コレクションテーマは“分裂”だ。作中で“魔性の女”富江に恋した男性たちは、例外なく彼女に殺意を抱いて実行に移すのだが、富江は何度どのように手に掛けられても“分裂”するかのようによみがえる。朝藤デザイナーはその世界観をコレクションに反映し、セットアップやブルゾン、スカートなどに怪しげな眼差しの富江のイラストを、ジャカード織やプリントで繰り返し配置した。

ほかに、「富江」シリーズの「ベビーシッター」や、「アイスクリームバス」「煙草会」などの人気作を象徴するイラストや扉絵を、フーディーやスエットといったカジュアルなアイテムにあしらう。サテン風生地のガーリーなミニリボンを袖やフードに付けたり、カラーパレットにパステルカラーを多用したりし、不気味な伊藤ワールドを「ペイデフェ」流に解釈した。

昨年5月の「伊藤潤二展」がコラボのきっかけ

今回のコラボは、朝藤デザイナーが幼少期から伊藤作品のファンであったことから実現した。「服作りを通して少女像を描くとき、いつも伊藤先生が描く、毒っ気のあるニュアンスを含めるように意識してきた」と朝藤デザイナーは話す。昨年5月に世田谷文学館で行われた「伊藤潤二展 誘惑」のトークショーで、伊藤の対談相手を務めたタレントの中川翔子が「ペイデフェ」を衣装に着用したことから、伊藤と朝藤デザイナーの親交が深まった。

フィナーレでは朝藤デザイナーと、ショーをフロントロウで鑑賞した伊藤がハイタッチを交わした。ショーを見た伊藤は、「想像以上に作品とブランドの相性がいいと感じ、さすがファッションデザイナーだと驚いた。私も着たくなったが、体形が合わないかもしれないので、ファッションに興味がある家内と娘に勧めたい。今後もまたコラボレーションできたら」と語った。さらに「若くてチャーミングなデザイナーさんが私の漫画に興味をもってくれたことがすごくうれしい」と笑顔を見せた。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

25-26年秋冬シーズンを大解剖 ムード・アイテム・素材・色柄・ディテール・バッグ&シューズが丸わかりのトレンドブック

4月21日発売の「WWDJAPAN」は、2025-26年秋冬コレクションを徹底解剖したトレンドブックです。今シーズンもパリとミラノ、ニューヨーク、そしてロンドン・コレクションの全てを詰め込みました。例年通り、キーワード(ムード)やアイテム、素材、色柄、ディテール、そしてバッグ&シューズのトレンドを分析。さらには「グッチ(GUCCI)」に移籍するため「バレンシアガ(BALENCIAGA)」最後のプレ…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。