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「グッチ」の親会社ケリングが「モンクレール」買収か 米メディアが報じる

 米ブルームバーグ(BLOOMBERG)は12月5日、「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」などを擁するケリング(KERING)が買収の可能性を巡ってモンクレール(MONCLER)と予備的な協議を行ったと関係筋の情報として報じた。

 市場はこれを好感し、イタリア証券取引所に上場しているモンクレールの株価は同日昼頃には前日比10.6%高の42.96ユーロ(約5155円)をつけ、終値は同6.5%高の41.36ユーロ(約4963円)となった。

 ミラノの市場関係者は、「ケリングはモンクレールの買収を真剣に検討している。資金も十分にある上、複数の銀行と取引について話し合っているようだ。モンクレールの時価総額が100億ユーロ(約1兆2000億円)程度だとして、30~40%のプレミアムを乗せた135億~140億ユーロ(約1兆6200億~1兆6800億円)の取引になるのではないか」と述べた。同関係者はまた、この動きは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)がティファニー(TIFFANY &CO.)を162億ドル(約1兆7658億円)で買収したことを意識しているのではないかとし、「早ければ数日から2週間以内にも正式な発表があるだろう」と話した。

 モンクレールのレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者は、「モンクレールのさらなる発展のため、折に触れて投資家やケリングを含めた業界関係者と会い、戦略的なビジネスチャンスについて話し合うことにしている。しかし、今のところ具体的な話は何も検討されていない」と声明を発表し、事態の鎮静化に努めた。一方、ケリングは現時点ではコメントを発表していない。

 業界アナリストはこの件をおおむね好意的に受け止めており、2003年にモンクレールを買収して以降、同社を大きく成長させたルッフィーニ会長兼CEOの経営手腕を高く評価する声が多い。伊投資銀行エクイタSIM(EQUITA SIM)は、「(買収が実現すれば)ケリングは『グッチ』への依存度を下げられるし、『モンクレール』はケリングの経営リソースを活用できるようになるので、双方にとっていい話だと思う」とコメントした。米証券会社ゴールドマン サックス(GOLDMAN SACHS)は、「ケリングの事業規模やデジタルプラットフォームの大きさ、またミレニアル世代を引き付ける優れた手腕を考えると、『モンクレール』はケリングに買収されることでさらなる発展が望めるだろう」としている。

 なお、ケリングの18年12月期決算は売上高が前期比26.3%増の136億6520万ユーロ(約1兆6398億円)、モンクレールの18年12月期決算は同18.9%増の14億2007万ユーロ(約1704億円)と両社とも増収だった。

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