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隈研吾×サカナクション山口×「アンリアレイジ」森永のコラボ展 “意味、解釈を超えた体験”

 建築家の隈研吾、サカナクションの山口一郎、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーの3者による「more than Reason 隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦(ANREALAGE)展」が9月24日まで、東京・京橋のLIXILギャラリーで開催されている。入場は無料。

 同展はLIXILギャラリーが、隈やアートディレクターの清水敏男、金工作家の宮田亮平、建築家の伊東豊雄の4人を監修者に迎え、それぞれ3カ月ごとの会期で開催する「クリエイションの未来展」の第19回目として隈が企画したもの。タイトルにある「more than Reason」が示すように、“意味や解釈、理屈を超えた体験を作ること”を目指して制作を進めた。

 企画は、隈が山口のラジオに出演し意気投合したことがきっかけとなり実現した。さらに山口が「アンリアレイジ」のショー音楽をディレクションしたり、森永がサカナクションのライブ衣装を手掛けたりするなど、2人はかねてから交流がある。

 ギャラリーには黒と白の部屋があり、プリーツドレスを着たマネキンがそれぞれ空間の中央に浮かぶ。森永が制作したドレスの上部は隈による天井、そして壁面のカーテンへとつながり、その境界は曖昧だ。展示空間には、山口が生活音や環境音をサンプリングした音楽が流れている。

 注目すべきはその制作過程だ。つながっているように見えるドレスと部屋は、全て同じ素材でできている。偶然にも森永と隈の事務所は徒歩数分の距離に位置しており、頻繁に打ち合わせを行ったという。隈研吾建築都市設計事務所の松長知宏設計室長は「建築と洋服にはとても近い部分がある。扱うもののスケールが違うだけで、今回それぞれの事務所では平面(シート)から立体(ドレス、空間)を作るという似た手順が踏まれていた」と語った。

 使用した素材は建築現場で使用される安価な養生シート。使用後は捨てられることが多く、主役となることはない。そんな素材をあえてドレスという上品なものに仕立てたところには、対極にあるものを交ぜ合わせる「アンリアレイジ」の手法がうかがえる。一方で隈が手掛けた天井やカーテン部分は手作業で仕上げられており、精巧なドレスから手の跡が感じられるカーテンまで、同一素材のコントラストも楽しむことができる。

 また来場者には俳句とQRコードが書かれたカードが入り口で配布される。俳句は上の句を山口が、中の句を森永が、下の句を隈が、それぞれ10〜20点ほど出したのものをランダムに選んで並べたもの。QRコードを読み込むと山口が手掛けた音楽を聴くことが可能だ。

 隈は建築、山口は音楽、森永はファッションと、異なる分野のクリエイターが互いの境界を曖昧にし偶然性を楽しんで制作した同展は、3者のコラボレーションのプロローグで“vol.0”という位置づけ。今後も同じタイトルで展開をしていく予定だという。

■more than Reason 隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦(ANREALAGE)
日程:7月20日〜9月24日
時間:10:00〜18:00
場所:LIXILギャラリー
住所:東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA 2階
休館日:水曜日、8月10日〜15日、25日
入場料:無料