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狙うはグローバル、伊発ラグジュアリーレンタル「ドレクスコード」とは

 近年の消費者意識の変化には所有意欲の低下とサステイナビリティーに対する関心向上という2つの大きなトレンドがある。不要な購入はせず衣服を長く愛用することに消費者の意識が向く中で、米国では「レント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)」、日本では「エアークローゼット(AIRCLOSET)」などのレンタルサービスが台頭してきている。イタリア発のラグジュアリーレンタル「ドレクスコード(DREXCODE)」もその1つだ。ヴァレリア・カンブリア(Valeria Cambrea)=ドレクスコード共同創設者兼セールス部門長は「レンタルは所有できないものを欲することではなく、賢い選択と捉えられている」と語る。

 ドレクスコードは2015年に、ネスレ(NESTLE)やダノン(DANONE)、クラフト(KRAFT)など幅広い企業でマーケティングと経営経験を積んだ、フェデリカ・ストラーチェ(Federica Storace)共同創設者兼最高経営責任者(CEO)とカンブリア=セールス部門長が共同で創設。現在サイトでは55のブランドを取り扱い、顧客は25万人、リピートオーダーは35%以上だ。同社は今年に入りイタリア・ラグジュアリー製品協会(ALTAGAMMA)のヤング・エンタープライズ賞も受賞している。

 「ドレクスコード」でユーザーは小売価格の10~15%の料金で、特別なオケージョンに合わせてラグジュアリードレスを4~8日間借りることができる。返却や洗濯、事前トライアル、代替サイズのレンタルは無料で、仕立ての変更やスタイリストのアドバイスには追加料金が発生する。利用可能なドレスは常時2000点ほどで、ミラノに倉庫と社内在庫品を有し、EU全域からのオーダーに対応する。売り上げの20%は開始当初からのカテゴリーであるイブニングドレスが占めるという。

 チャットや電話、eメールを通じた消費者とのダイレクトなコミュニケーションにも重きを置いており、ミラノの老舗百貨店ラ・リナシェンテ(LA RINASCENTE)にショールームストアを、ブレラ地区には一時的な店舗を構える。「サービスは私たちの強みだ」とカンブリア=セールス部門長は言う。

 「オンライン・ラグジュアリーが主流になりつつあると気づき、またウーバー(UBER)やカーシェアリング、エアビーアンドビー(AIRBNB)の登場で、イタリアでも消費者がシェアリング・エコノミーに向かっていることを実感していた」とストラーチェCEOは本社でのインタビューで語り、サイトはマーケットプレイスではなく、定期的にラグジュアリーブランドの最新コレクションから卸売価格で在庫を購入しており「購入はデータに基づいて判断している」とも説明した。

 同社にとってサイトは強力なマーケティングツールでもあり、顧客の31%が新たなブランドを試したいと回答した際は「モスキーノ(MOSCHINO)」や「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」など既に取り扱っている著名なブランドに代わる選択肢として「イリス・セルバン(IRIS SERBAN)」や「マリア・ルチア・ホーハン(MARIA LUCIA HOHAN)」といった知名度の低いブランドを追加した。

 同社によればスタイリストも含む同社の顧客の60%は“ファッションを理解している、いそがしい社交生活を送る”働く女性で、25~40歳の2500人を対象とした調査では78%が「2つの異なる特別なオケージョンで同じドレスを着ない」と回答した。「インスタグラムは人々の見え方や見せ方を変え、女性は今や2つの場で同じデザインを着て写真を撮られることを望まない」とカンブリア=セールス部門長は話す。

 最近ではミレニアル世代の顧客を引きつけるため、100ユーロ(約1万2100円)前後の料金のドレスも取り扱う。ストラーチェCEOは「今も特別なオケージョン需要を狙っているが、アペリティフタイムやディナー、それにガラやウェディングまで範囲を拡大している」とも言及した。
 
 「ドレクスコード」はミラノでの旗艦店オープンを見据える一方、は過去2年間で50%以上の成長が見られた国外事業の拡大を推進する。「昨年9月から今年の2月にかけて8000件のオーダーがあった」という。またロンドンでのポップアップ開催に照準を合わせると同時に、ファッション性とカスタマイズ性向上のためサイトをアップデートし、アクセサリーとカスタムジュエリーの取り扱いも拡大する。「私たちは機能的なニーズを満たすところから始まり、今は満足度の向上へとステップアップしている」とストラーチェCEOはコメントした。

大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。