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米AIスタイリングのスティッチ フィックス、ついに上場するも初日はふるわず

 ユーザーの好みに合わせてAI(人工知能)と3500人のパーソナルスタイリストが選んだアイテムを届けるサブスクリプション(定期便)サービスを運用するスティッチ フィックス(STITCH FIX)が17日、ナスダックに上場(IPO)した。予測されていた18〜20ドル(約2016〜2240円)を下回る15ドル(約1680円)でスタートした同社の株価は、一時23.5%増の18.53ドル(約2075円)まで急上昇したものの、終値は1%増の15.15ドル(約1696円)だった。満を持して上場に踏み切ったファッション業界期待の星だが、ウォールストリートはそう甘くはなかったようだ。

 スティッチ フィックスは初日に800万株を売り、1億2000万ドル(約134億円)を調達した。初日の結果を受けたスティッチ フィックスの時価総額は14億6000万ドル(約1635億円)で、市場予想よりも下回ったが悪くはない数字だ。

 スティッチ フィックスはITと小売りが融合したいわばハイブリッド企業で、前例が少ない。そのため同社の成長はさまざまに予想できるが、それが投資家が手を出し切れなかった理由になりそうだ。

 また、アマゾン(AMAZON)のような巨大ECがスティッチ フィックスのビジネスモデルを模倣するのではという懸念もあるが、カトリーナ・レイク(Katrina Lake)=スティッチ フィックス創業者兼最高経営責任者(CEO)は「アマゾンのビジネスモデルは素晴らしくアパレルへも多額の投資をしているが、約3530億ドル(約39兆536億円)規模の市場の80%以上の商品が店頭で販売されており、アマゾン以外のプレーヤーにも成功の余地はある。私たちの商品提案の方法はアマゾンとは全く異なるもの。データサイエンスと人間の判断というユニークな組み合わせこそ競争に勝つ武器であり、消費者が気にいる商品を発見して購入に至るまでの精度は、私たちのビジネスモデルの方が上だと信じている」と強気だ。

 ディズニー(DISNEY)やハースト(HEARST)などの企業をクライアントに持つサブスクリプションマーケティング企業、フォシーナ マーケティング グループ(FOSINA MARKETING GROUP)のジム・フォシーナ(Jim Fosina)創業者兼CEOも、スティッチ フィックスはアマゾンなどの大手に対し「防御力が高い」と評している。「アマゾンは幅広い商品をとりそろえ、堅実な価格設定と配送にフォーカスしているが、基本的にやっていることはピックアップと梱包で、消費者の心の琴線に触れるようなものではない。しかもこの市場には多くの競合がいる。一方、スティッチ フィックスはデザインとファッションにおけるユーザー理解に長けている。ユーザーを囲い込み、ライフタイムバリュー(生涯を通じた価値)を構築するのがうまいのも鍵だ」と説明する。

 スティッチ フィックスは現在、220万人のユーザーを抱える。16年にメンズ向けのサービスを、17年にはプラスサイズ向けサービスも開始し、年商は14年の7320万ドル(約82億円)から17年(7月29日終了)には9億7710万ドル(約1094億円)に急上昇。15年、16年は黒字だったが17年は赤字を計上している。AIがユーザーの好みに合わせて選んだアイテムから、3500人のパーソナルスタイリストが手を加えて、届ける5着を選出する。スタイリング料として1回20ドル(約2180円)かかるが、気に入れば全アイテムを25%オフで購入することができ、気に入らなければ無料で返送できる仕組みだ。

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