
「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」は現地時間14日、2026年春夏コレクションをニューヨークで発表した。
クリエイティブ・ディレクターのヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)による2回目のコレクションの舞台は、マンハッタン南部のブラント・ファウンデーション。煉瓦の壁と大きな窓から自然光が差し込む空間。ここでヴェロニカは、都市の緊張感に「ドラマ」と「親密さ」を融合させ、「カルバン・クライン コレクション」らしいニューヨーク・ミニマリズムの次章を感じさせるショーとなった。
都会的な緊張感の中に
しなやかな素材の抜けとリズム
テーラードジャケットやトレンチコートといった精密なテーラリングアイテムや、ジーンズやワークジャケットといった実用服。基軸となったのは「カルバン・クライン」の都会的な緊張感が漂うエッセンシャルなワードローブだ。そこにウールやシルク、ワックス加工のテクニカルファブリック、ジャージーといったしなやかな素材、流れるようなドレープやフリンジのアイテムが抜け感を、ライムグリーン、ピンクといった差し色がリズムをもたらした。
今回のコレクションについてヴェロニカは「ニューヨークに生きる映画的なアメリカ人キャラクターたちと、彼らが身につける親密でありながら多様性のある服のシステムからインスピレーションを得た」と語る。ショーは中盤から後半にかけて、都市の緊張感からのさらなる解放へ進んだ。際立ったのは、インティメイト(下着)な要素だ。
アンダーウエアから広がる“自分らしさ”
緊張感と親密さをつなぐクラフト
下着を単に“見せるもの”ではなく“自分らしさ”や“生き方”へと昇華させる姿勢が、ブランドのDNAであるアンダーウエアから広がった。アイコニックなロゴ入りウエストバンドを織り込んだツイードドレスをはじめ、キャミソールドレスやシースルーのトップス、透けるレギンスなどを大胆に組み込んだ。ストライプのガウンやバスローブを思わせる白いコート、流れるドレープのマキシドレスも、インティメイトな心地よさで共鳴していた。
そして「緊張感」と「親密さ」という相反する要素の間を取り持ったのがクラフトだ。レーザーカットでテリークロスのような質感を表現したり、インターシャで構築したりしたレザーは、手作業でカット&かぎ針編みを加え、フリンジドレスに仕立てた。服の随所にあしらった大ぶりなポンポンや未来的なアイウエアも、コレクション全体に“映画のような”ドラマを添えていた。
前回の25-26年秋冬コレクションのショーを終えた後、ヴェロニカは「カルバン・クラインを“見せ方”ではなく“あり方”として表現したい」と「WWDJAPAN」に語ったが、今回のコレクションはその言葉をまさに体現していた。緊張と心地よさ、そしてドラマが入り混じるニューヨークに生きる人々のリアリティーを、ミニマルなスタイルの中に鮮やかに描き出した。