
ファーストリテイリングの2024年9月〜25年5月期業績は、売上高に相当する売上収益が前年同期比10.6%増の2兆6167億円、営業利益が同12.2%増の4509億円、純利益が同8.4%増の3390億円だった。ユニクロ事業の日本、欧州、北米、東南アジアなどが成長をけん引。一方、構造改革中のグレーターチャイナは直近3カ月は減収減益、ジーユー事業も同じく増収大幅減益だった。
ユニクロでは、猛暑に対応する夏物コア商品がよく売れているほか、通年で販売できる“定番のアップデート”商品がヒットし、気温に左右されにくい商売に手応えを得ている。具体的には「ユニクロ:C(UNIQLO:C)」の“スウェットワイドパンツ”(3990円)や、「ユニクロ アンド ジェイ ダブリュー アンダーソン(UNIQLO AND JW ANDERSON)」の“ストレートジーンズ”(4990円)など。「スエットやジーンズという定番に新しいデザインや新機軸を入れることで、これほど需要が得られるのかという学びがあった」と、岡﨑健 取締役グループ上席執行役員CFOは語る。
アメリカ市場では、トランプ関税の影響は現時点では出ていないと言うが、「25年秋冬以降はかなり影響を受けると見ている。ただし、状況は流動的であり、サプライチェーンの組み替えなどでここから右往左往してもしょうがない」。関税上昇分を価格に転嫁するかについては、「アイテム1つ1つについて、価格と価値のバランスを精査し、価格が上げられるものは上げるしかない」と話す。
ユニクロの中国事業は、直近3カ月で売上収益が現地通貨ベースで約3%減(円換算ベースでは約8.2%減)、営業利益は約8%減(同約11.5%減)だった。引き続き、非効率店舗のスクラップや増床などを進め、店舗の質の改善を進める。既存店を増床リニューアルし、中国大陸南西部初の旗艦店としてオープンした「ユニクロ 成都店」など、既に手応えを得ている事例もある。
ジーユー事業は“バレルレッグパンツ”や“スウェT”などの販売は好調だったが、ヒットの芽が見えた商品の欠品やマーケティング不足が響き、直近3カ月は業績予想を下回った。「ジーユーの課題は2つ。ユニクロと差別化した、マストレンドのど真ん中で“LifeWear”をいかに表現するかというのが1点と、2つ目は欠品や在庫過多を防ぐ情報製造小売業という仕組みを徹底実行する部分。1つ目に関しては、ユニクロのR&Dの中心メンバーもジーユーに加わって開発した、ジーユーらしさを追求した商品が25年秋冬以降、順次増えていく。2つ目については、4月に就任した黒瀬友和新社長はユニクロで長い経験があり、実行力に関して申し分ない。この2つが合わさることで精度が今後上がっていく」と語った。