PROFILE: 佐々木希/俳優

18歳でデビューすると瞬く間に脚光を浴び、以来、芸能界の第一線で活躍してきた佐々木希。モデル、そして俳優としてキャリアを積んだ彼女は2017年、自社EC限定のワンマイルウエアブランド「アンティミテ(INTIMITE)」を立ち上げた。フランス語で「親密」や「親しみ」を意味するブランド名には、「長い1日の中で着心地のいいものを着たい」という彼女の思いから、「家の中でも気持ちよく着られるストレスフリーの服」というコンセプトを込める。
「10代から雑誌の撮影などを通して、手頃でかわいい服もたくさん着てきたが、20代半ばくらいからは着心地のよい服を着たいと思うように。洗濯は苦手で、なるべくアイロンもかけたくないし、楽に扱えてオシャレな服があればいいなって」と話す姿は一般の主婦と変わらないが、一度決めたことはやり通す熱意やファッションへの情熱からは長いキャリアで培ってきたプロ意識と矜持がうかがえる。その思いはブランド立ち上げ当時から変わらず、機能性と実用性の両立を貫いてきた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年1月20日号からの抜粋です)
INTIMITÉ
by NOZOMI SASAKI
BRAND HISTORY
2017年 5月 「アンティミテ」ローンチ
2019年 9月 伊勢丹新宿本店で初のポップアップストア
2022年 4月 アイウエアの「アイヴァン(EYEVAN)」とコラボ(継続中)
2023年 11月 スキンケア「リンクオリジナルメーカーズ(LINC ORIGINAL MAKERS)」とコラボ
2024年 11月 代官山でポップアップストア、約400人が行列
自ら生地を選び、試行錯誤
「アンティミテ」の要ともなる生地選びは全て佐々木が担う。複数のテキスタイルメーカーから送られてくる膨大な数のスワッチ(生地見本)を広げては一つ一つ触れ、感触や色味、しわになりにくいかなどを確かめる。「時には、頭がパンク寸前になるほど一日中見入ってしまうことも。特にこだわりたい生地選びは私の役割として責任を持って行っている」。
服作りの知識がなかった佐々木を支えてきたのは、「アンティミテ」の生産と販売を担うアンセミックの中山良一社長。中山社長は、ストライプインターナショナルの前身であるクロスカンパニーで、プレスや企画などを幅広く担当した後、役員を務めた。08年に独立後、モデルやインフルエンサーによるEC専売ブランドを数多く手掛けてきた。佐々木は過去にブランド服をプロデュースした経験があったが、本業が多忙の中、型数のノルマなどに苦しみ、最終的には納得のいくものが作れなかったことを悔いていた。そんな背景を受け、「いつかまた服作りをしたい」と思っていた佐々木の思いに沿う形で6型からスタート。現在は年2回30型ずつにまで拡大している。
生地選びと並行して、佐々木が自身の強みとする役割が、「アドバイスをもらうこと」。20年近くモデルや俳優として活動する佐々木には、スタイリストやヘアメイク、フォトグラファーら、ファッションに精通する友人も多い。食事に行く場や撮影の合間などに何でも相談するという。「私の特権だと思う(笑)。友人のような関係でも、彼らはファッションにおけるプロの方々。もちろん彼らを尊敬しているので、質問したらその意味を理解するように心掛けている」。服作りにおいての佐々木の熱意は、日頃のチームディスカッションにも表れており、「少数精鋭の中、シャツの袖を1cm伸ばすか、という細かい部分もとことん話し合う。ベテランとしての中山さんの意見はもちろん、20代の私のマネジャーの若い目線も大切」と妥協はしない。20-21年秋冬から販売するフーディーはマイナーチェンジを繰り返し、常に完売するほどの人気商品になった。

「自分だけが喜ぶ服は作らない」
ブランド8年目を迎える今春には、公式サイトや定番商品を見直すリニューアルを計画。国産素材を生かしたベーシックなデザインを中心としてきたが、今後は海外の生地を採用したデザイン性の高い服にも挑戦していく。「年齢を重ねて、ブランドを始めた当初のスタイルでは物足りなくなってきた。私が作りたい物と、ファンの皆さんが求めている物とのバランスに日々葛藤している。ただ自分だけが喜ぶ商品は作りたくないし、価格帯も維持していく。ブランドを愛してもらえる服を優先し、親しみやすさを持ってもらえるよう今後も変わらず頑張っていきたい。今年はいろいろな企画を用意しているので、ぜひ楽しみにしてほしい」。
HAIR & MAKEUP: KYOHEI SASAMOTO(ILUMINI)