ファッション
特集 パリ・コレクション2024-25年秋冬

「コム デ ギャルソン」の純真、「エルメス」は雨降るパリの日常、新生「マックイーン」も 2024-25年秋冬パリコレ取材24時Vol.8

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2024-25年秋冬パリ・ファッション・ウイークの現地リポートを担当するのは、コレクション取材20年超のベテラン向千鶴・編集統括兼サステナビリティ・ディレクターと、ドイツ在住でヨーロッパのファッション事情にも詳しい藪野淳・欧州通信員。朝から晩までパリの街を駆け巡り、新作解説からユニークな演出、セレブに沸く現場の臨場感までを総力でリポートします。今回は、「エルメス(HERMES)」や「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」、新生「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」、そして注目株の「アラインポール(ALAINPAUL)」と「クイラ(QUIRA)」をお届け!

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3月2日 14:00 「エルメス」

雨が降ったり止んだりの天気が続いたパリコレ。「エルメス」はランウエイの中央に本降りの雨を降らせる演出で、「中に入ってまで雨?」と一瞬戸惑うも、ショーが終わる頃には「雨も悪くない」と気分が転換していました。

リリースにはこんなメッセージがあります。「コツコツと響くブーツの音。 かつてこの大通りで、馬が鳴らしていた蹄の音のように。約束の時間に遅れてはいるけれど、急ぎはしない。彼女はそっと雨に微笑みかける。彼女に安らぎを感じるのはいつだって、こんな雨の日の街なのだから」。これぞまさに今季のパリコレの気分です。日常を、今日を楽しむポジティブな提案です。

雨ならば襟のファスナーをあげて、トレンチコートのベルトをしっかり締めればいいだけ。弾力のあるレザー、堅固なツイル、包み込むようなカシミヤとコーデュロイが優しく身を守ってくれます。足元は騎手気分でロングブーツを合わせて雨の散歩を楽しみます。深みのある黒に加えて、今季特に目を引くのが温かみのあるブラウンと甘さを含む赤。上質な「エルメス」の日常を彩るカラーパレットです。ブランケットコートは広げてブランケットとしても使用できるそうで、晴れの日にもまた森への散歩が楽しみです。

15:30「アラインポール」

「エルメス」の後は、「アラインポール」のショーに急いで移動。まだ2シーズン目ですが、半年前のデビューショーを見た時から気になっている新進ブランドで、目利きのパリのセレクトショップ「ザ・ブロークン・アーム(The Broken Arm)」や米百貨店「バーグドルフ グッドマン(Bergdorf Goodman)」でもすでに取り扱われています。

まず、デザイナーであるアライン・ポールの経歴がちょっと興味深い。1989年にフランス人の父とデンマーク系ブラジル人の母の間に香港で生まれた彼は、97年に家族でフランスに移住。98年にはマルセイユ国立高等舞踊学校に入り、コンテンポラリーバレエの経験を積みながら育ちました。そして、18歳から自己表現の新たな創造性を探求するためにファッションデザインを学び、2014年からは「ヴェトモン(VETEMENTS)」の初期メンバーとして参画。18年からはヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)率いる「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズチームでキャリアを積み、23年に夫のルイス・フィリップ(Luis Philippe)と共にブランドを立ち上げました。

「アラインポール」には、彼のこれまでの経験が生かされています。今季は、デビューシーズンに見せた、バレエの要素を軸にしながら程よい捻りを効かせた綺麗なテーラリングやカジュアルウエアを織り交ぜて見せるスタイルを継続しつつブラッシュアップ。シーズンを超えてワードローブを発展させていくという考え方には共感します。今季のベースとなるのは、ハイネックやスクープネックのレオタードなどダンサーがリハーサルや練習時に着るウエア。ウォームアップパンツのウエストを折り返すディテールはさまざまなパンツのデザインに取り入れ、チュールスカートは巨大化してスッポリと全身を覆うドレスに。縦のラインを強調したボクシーなテーラリングには、共布にジャケットのポケットや袖口のボタンを加えたパネル状のロングマフラーや、襟を前にずらしたようなシャツをスタイリングし、足元はバレエシューズを再解釈しています。ショーは、クラシックバレエのような厳格さから始まり、コンテンポラリーダンスのように自由に解き放たれたムードに移行。そんなコレクションからは、彼の人間の動きと服の構造への理解を感じます。

16:00 「クイラ」

輝かしいキャリアを持つヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)による「クイラ」が教会を会場にパリで3回目となるプレゼンテーションを行いました。22年春夏にミラノでデビューをした彼女は、創業者時代の「ジル サンダー(JIL SANDER)」やフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CELINE)」、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」の「2 モンクレール 1952(2 MONCLER 1952)」のウィメンズなどで責任ある立場を任されてきた人。

ニットやテーラードは上質で、ほんのり捻りを効かせたファッション通の大人の女性のワードローブです。そのキャリアから職人や工場とのつながりが深いのでしょう、特にコートやジャケットの丸みのある肩や、シャツのカッティング、身体のラインをきれいに見せるウエストのラインが美しい仕上がりです。

会場がほの暗い教会な上にダークカラーが多く会場写真だけでは素材の上質感が伝わらないので、イメージビジュアルもこちらに置いておきます。スコティッシュ・ツイードやダブルフェイスのウールカシミア、ブリーチアウトしたブラックデニム、洗いをかけたジョーゼットなどこだわりの素材使いは物作りに理解が深い日本の消費者と相性が良さそうです。

17:00 「コム デ ギャルソン」

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