ファーストリテイリング、入社1〜2年後の店長経験で「経営力」を鍛える

山崎麻紀／人事部　採用 部長

ファーストリテイリング

「ユニクロ（UNIQLO）」「ジーユー（GU）」などを運営するファーストリテイリングは「マイナビ・日経 2024年卒大学生就職人気ランキング」の文系学生部門で4位。身近で親しみがあり、そして世界規模でビジネスを展開する同社にはさまざまな志望動機を持つ学生が集まる。多くのアパレル企業にエントリーする学生もいれば、総合商社や金融、コンサルといった業種とファストリを併願する学生も少なくない。採用担当の山崎麻紀部長は求める人材について「当社のステートメントにある通り、世界をより良い方向に進める志を持った人」と話す。（この記事は「WWDJAPAN」2024年2月19日号からの抜粋です）

若くして一国一城の主に
全ての起点となる店舗を知る

ファストリの壮大なビジョンを地に足のついたビジネスにしているのが、店舗重視の姿勢だ。柳井正会長兼社長は常々、同社における店長の重要性を語っている。入社後はまず店舗に配属され、1〜2年後に店長に就くことを目指す。品出しから陳列、接客、レジ、フィッティング、ミシン、販売計画、本部とのやりとり、そしてスタッフ管理まで店舗の仕事は多岐にわたる。店舗こそが全ての原点。これ自体は他のアパレル企業も同じかもしれないが、例えば「ユニクロ」の場合は1店舗あたりの平均売上高は11億円（23年8月期）にものぼる。スタッフも小さな店で30〜40人、大きな店になれば200〜300人。20代前半の若い店長が中小企業の経営者のような立場で事業を回すことになる。店長は毎日、在庫や人繰りなどさまざまな決断を迫られる。予算達成も求められる。予測できないトラブルも起こる。