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連載 エディターズレター:MARKET VIEW 第24回

ラッセンと日本 アートは社会の写し鏡

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川上未映子さんの小説「黄色い家」(中央公論新社)は、1990年代末を舞台に過酷な家庭環境から犯罪に追い詰められる少女を描くクライム・サスペンスです。胸が痛くなるほど深刻な展開が続く中、X JAPAN、風水、映画「タイタニック」、プリクラ、吉野家、ピノ、わかめラーメン、雪の宿、VO5、サッサ、アンメルツヨコヨコ……作中に登場するモチーフや商品選びが絶妙で唸ります。

中でも印象的な役割を果たすのがクリスチャン・ラッセンの絵画です。

ハワイを拠点にイルカやクジラを幻想的に描くラッセンは、かつて日本では国民的アーティストのような存在感がありました。1990年代〜2000年代にかけてシルクスクリーン(版画)やカレンダー、ジグソーパズルなどが家庭や飲食店に飾られていました。銀行通帳の絵柄に採用されたり、パチンコ台が登場したり、とにかくよく見かけました。一方で、渋谷や新宿などで若い女性スタッフが「絵を見にきて」と声をかけ、ショールームに移動すると高額なローンを組まされる絵画詐欺が問題になったりもしました(私も3回くらい声をかけられた)。10年ほど前、お笑い芸人・永野が「ゴッホより、普通に、ラッセンが好き」のギャグでブレイクしたのを覚えている人もいるでしょう。

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