WWDJAPAN主催の「DXアワード」の初代グランプリの栄冠は、オンラインクローゼットアプリ「XZ(クローゼット)」を運営するスタンディング・オベーションが獲得した。2014年に同社を創業した荻田芳宏社長は、「タンス在庫をオンラインで可視化する」というありそうでなかったサービスを創業以来、変えることなく堅持し続けている。荻田社長の特別インタビューをお届けする。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月20日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
グランプリ
最も優れたファッション&ビューティテック企業

受賞者
スタンディング・オベーション
サービス名
「XZ(クローゼット)」
「XZ-biz(クローゼットビズ)」
説明
タンス在庫の可視化。
「持っている服」を生かしたOMO体験を実現する、
オンライン・クローゼット事業
評価ポイント
ユーザーのリアルなペインに着目しつつ
ありそうでなかったユニークな着眼点
大きな将来性・可能性
審査員のコメント
DXの本質とは、エンドユーザーの体験価値の向上であるべき。タンス在庫の可視化と、持っている服を生かした新しいOMO体験という2つを実現する「XZ」「XZ-biz」は、まさにそれらを体現している。有力なプレイヤーとの連携により、さらなる発展を遂げる高いポテンシャルにも期待したい。
オンラインクローゼット
10年目の正直
「WWDJAPAN」DXアワード初代グランプリには、スタンディング・オベーション(STANDING OVATION以下、SOV)の「XZ(クローゼット)」が輝いた。タンス在庫をオンラインで可視化し、「だれもが世界に一つのクローゼットを持ち運べるオンラインクローゼット」というコンセプトを掲げる同サービスは総合得点でも首位、審査員の審議でも全員一致だった。「2014年のスタンディング・オベーション創業当初からずっと変わらないコンセプトだった。起業前は広告代理店で働いていてモデルのキャスティングなどもしていたため、よく女性ファッション雑誌に目を通していたが『着回し』という言葉がよく使われていて、ニーズがあると確信していた」と荻田芳宏社長は語る。「クローゼット」のサービスは創業当初SNSのような側面もあり、熱のあるコミュニティーが形成され、コマースへの導線にもなっていたものの、インスタグラム(Instagram)やメルカリ(mercari)が台頭し、一時期は苦しい状況に追い込まれたことも。だが、粘り強くサービスを続け、11月には「アプリ」が累計200万ダウンロードを達成し、アイテム登録数は4250万点に達している。タンス在庫をオンライン上で可視化し、手持ちの服を無理なく無駄なく新品と合わせることに特化したサービスは、実は今でもありそうでない。例えば「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」は結果的に「ゾゾユーズド(ZOZOUSED)」や「WEAR」を組み合わせ、顧客の過去の購入アイテムを循環させる仕組みを構築している。だが「クローゼット」の強さは、多くの消費者が頭を悩ます「着回し=無駄のない手持ち服の活用」を起点に全てのサービス設計が一貫している点にある。「苦しいときもあったが、『オンラインクローゼット』というコンセプトは必ず世の中の当たり前になる」と荻田社長。
今後は「ゾゾタウン」「楽天」などのさまざまなサービスとの連携も視野に入れ、「3年後に500万ダウンロード、5年後には1000万ダウンロードを目指したい」。