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発展著しい東南アジア市場 ラグジュアリーセクターの次なるフロンティア

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ラグジュアリーグッズの消費市場といえば、中国本土をはじめとする大中華圏抜きでは語れないが、最近は“次の有力市場”としてベトナム、タイ、マレーシア、フィリピンなどの東南アジア諸国に注目が集まっている。コロナ禍が落ち着いたことにより、2023年上半期には中国人観光客が戻ってきていることや、経済発展による中産階級の増加が主な理由だ。しかし、東南アジアと一口に言っても、国ごとに特徴や状況は異なる。コンサルタントや業界関係者の意見を交えつつ、各国の最新事情や状況をまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2023年9月11日号からの抜粋です)

ドイツの市場分析会社スタティスタ(STATISTA)のデータによれば、23年におけるベトナムのラグジュアリーグッズ市場の売上高はおよそ10億ドル(約1460億円)、タイは19億4000万ドル(約2832億円)に達する見込みで、それぞれ年3.2%と5.7%の成長率が期待できるという。

また、ロンドンを拠点とする不動産会社サヴィルズ(SAVILLS)は、近年ベトナムの首都ハノイでは、フォーシーズンズ(FOUR SEASONS)、フェアモント(FAIRMONT)、ウォルドーフ・アストリア(WALDORF ASTORIA)、リッツ・カールトン(RITZ CARLTON)など、数年以内に開業するものも含めて高級ホテルのオープンが相次いでおり、ラグジュアリーブランドの誘致に有利な環境が整いつつあると説明する。同社によれば、ハノイは東南アジアの主な小売市場の中で、19年から21年にかけて店舗などの賃料が上昇した唯一の都市だという。

なお、タイの首都バンコクでは、一等地にある広大な敷地内でワールドクラスの高級ホテルやレジデンス、高層オフィスビル、ショッピングモールなどを集めた複合施設「デュシット セントラルパーク(Dusit Central Park)」や「ワン バンコク(One Bangkok)」などの大規模プロジェクトが進行しており、23年末までに46万㎡以上の一流ショッピングエリアが新たに誕生する見込みだ。

ラグジュアリーおよびコンテンポラリーブランドを取り扱うマルチブランドストア、ランウエイ・ベトナム(RUNWAY VIETNAM)のアン・トラン(Anh Tran)創業者は、観光客が急激に回復したことで、タイ、マレーシア、シンガポールのラグジュアリー市場の業績が大幅に改善しているとコメントした。例えば、タイのバンコクにある高級ショッピングモールには中国やロシアの富裕層が大勢訪れているため、ラグジュアリーグッズが飛ぶように売れており、高級品の売り上げは前年と比べておよそ1.5倍になっているという。また、国教がイスラム教であるマレーシアは、中東の富裕層の旅行先として人気があることから、消費意欲の高い彼らによるインバウンド需要によって小売業界の業績がV字回復していると分析した。

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