ファッション
連載 SNSトレンドに、業界は「どうする」? 第56回

Vol.56 SNSでも「楽天 ファッション ウィーク東京」が変わってきた! 改善する発信力の理由は?【SNSトレンドに、業界は「どうする」?】

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「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、X(Twitter)やFacebook、Instagram、TikTok、そしてThreadsをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、「楽天 ファッション ウィーク東京」におけるSNSのお話。

ソーシャルエディター浅野:いつも私はビューティの話をしていますが、今回はファッションです。8月28日〜9月2日まで、東コレこと「楽天 ファッション ウィーク東京」が開かれ、ソーシャルチームも総力戦で取材に挑みました。ソーシャルで東コレに注力しはじめたのは、3シーズン目。今回は、変化を感じたシーズンでした。

東コレは認知度が低いせいかSNSでの反応が渋く、業界人を除けば、なかなかのファッションオタクしか反応しません。特にX(Twitter)は苦戦していたのですが、今回はエンゲージやユーザーからの反応がぐっと増えました。「フェティコ(FETICO)」「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」「ア ベイシング エイプ®︎(A BATHING APE®︎)」「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」などが牽引し、ファッション好きの一般層にもじわりじわりと広がった印象です。前述したブランドは注目度が高いことに加え、インフルエンサーや著名人を招待してメディアにも積極的にアプローチするなど、“ファッション業界の内側”ではなく、“外側”に発信する施策に積極的でした。
Xをたどっていると「東京でファッションウイークなんてやっているんだ」という意見は少なくありません。まずはこういった層に届けるタッチポイントを増やすことがとても大事です。私は普段ビューティを中心に取材していて、ガッツリとファッションに関わるようになったのは、ここ最近です。そんな私が最初の東コレ取材で感じたのは、“内輪の祭り感”です。「こんなに素晴らしいブランドがたくさんあって、楽しいことをやっているのに、東京在住の人にさえ届いていないのはなぜ⁉︎」って思ったんです。「東コレより東京ガールズコレクションのほうが海外で認知されている」という意見も見かけました。SNSでの発信が弱いのは否めません。「WWDJAPAN」というメディアのソーシャルエディターとして「今、東京で最高にイケてるファッションの祭りやってるよ!」というムードをSNSを使って醸成することは使命だと思いました。

フロントローが世代交代
SNSネイティブが主流に

記者村上:“内輪の祭り感”が薄れつつある理由の1つに、来場者の変化があるように思います。東京のブランド、特にカルチャーのムードが漂うブランドは従来の既成概念にとらわれず、批判を承知で言い切れば「何をやっているのかわからない年長者」の代わりに、イケてる仲間や、そんなコミュニティに憧れるファンを呼ぶようになっています。結果、フロントローは確実に世代交代している印象です。若い世代はデジタルネイティブだから、自然とSNSで発信してくれますよね?相次ぐ投稿が認知に繋がり、エンゲージメントの上昇やファンの拡大につながっているのではないでしょうか?

> 「WWDJAPAN」公式YouTube

わたしは今回、動画担当チームとの発信に傾倒しました。以前は来場して、暗い中で近くの人とおしゃべりしながら始まるのを待って、終わればすぐに会場を後にして、急いで紙面やウェブの原稿に取り掛かっていました。今回はできる限り早めに会場入りして、来場したゲストにコメントをいただき、終わればまた感想を頂戴したんです。気づくと周りのメディアやブランドも、動画やLIVE配信など、新たな発信手段に積極的ですよね?そんな変化も大きいのではないでしょうか?
「一緒に変わろう」「ともに変えていこう」という覚悟がないと招待していただけないとか、「周囲に負けないように発信しないと、来た意味がない」という良い意味での緊張感が広がっています。こんなに早く来場者と彼らの発信方法が大きく変わったのは、パリやミラノ以上かもしれません。

メディアからはSNS専任もチラホラ
ランウエイ限定の発信者も現れるか?

浅野:確かにメディアの動きも変化しましたね。ちょうど前シーズンのタイミングでマスク着用が任意になり、スナップや動画コンテンツも活発になりました。ショー会場の渋谷ヒカリエや表参道ヒルズの前も、今まで以上にスナップ待ちのおしゃれな若者で盛り上がっていましたね。アジア系を中心に外国人もかなり増えました。
メディアでも、ソーシャル専任と思われる人が前回よりも格段に増えました。ファッション業界は、まだまだSNSを活用できると思います。ビューティよりブランドの世界観にシビアなのはよくわかりますが、そこがファッションの敷居の高さにもなっています。東コレなどの祭りのシーズンくらいは思い切って門戸を開いてみるのも良いのでは?なんて思います。

村上:かつてはダイエット プラダ、今はスタイル・ノット・コムなど、海外ではファッションショー周りの情報発信だけで台頭するインフルエンサーが存在することを考えると、日本はもっともっと情報発信できるんでしょうね。

一方で、我々メディアも負けていませんよ。上の記事の言葉を借りるならば、私たち編集者は、「ユーザーの生活や購買行動、心理などを踏まえたマーケティング戦略を組み立て、それを高いレベルで実行できるコンテンツの制作力にも優れている」人たち。SNSで活躍する人たちが新しい発想で勝負するなら、我々は誰よりもユーザーを知る想像力で対抗しますw!

次回も、ファッションのトピックをお送りします。

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