ただ、最近のSNSでは“成分至上主義”になりすぎているように思います。成分の濃度や配合量を分析して発信するインフルエンサーも多く、配合量が多ければ多いほど良い、という風潮が少なからずあります。量というのはわかりやすい指標なので、よほど化粧品に詳しくない限りは「高濃度、高配合なら良いだろう」と思ってしまうのは仕方がありません。しかし、成分は単一で効果を発揮するものばかりではなく、さまざまな成分との配合の妙があってより肌に効果的に届ける工夫がされていたり、化粧水や美容液、クリームなど肌にデリバリーする基剤の技術も大きく影響します。例えば、コーセー「雪肌精」の“薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション”は、独自の乳化技術によって配合が難しいとされる有効成分を安定化させ、みずみずしい使い心地なのにしっとりとしたあと肌感を実現。シワ改善と言えばの「ポーラ(POLA)」も有効成分の配合技術と肌の奥深くに届ける技術力で機能性をより高めています。「カネボウ(KANEBO)」は粉体の加工技術が高く、粉体を半透明ジェルでコーティングすることで高密着をかなえた “クリスタライズドフィックスパウダー”は、その仕上がりの絶妙な艶やかさに唸りました。外資ブランドのラグジュアリー化粧品も、さまざま理由で具体的な訴求は難しいものの、クリームや美容液のテクスチャーのリッチさは、並々ならぬ技術とこだわりを感じます。このとろみに、潤いに、滑らかさに、粉ひとつに、膨大な研究の成果が詰まっていると思うと、ロマンさえ感じます。
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