日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)は、3月13〜18日に2023-24年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」を行った。屋内でのマスク着用も任意となり、コロナ前の雰囲気に近づいたシーズンだった。JFWOと冠スポンサー楽天のキーパーソンは、今季をどう振り返るのか。
WWD:今季の成果は?
松村:2019年9月に「楽天ファッション(Rakuten Fashion)」をリブランディングしたタイミングで東京ファッション・ウイークの冠スポンサーに就任し、“日本のファッション産業全体を底支えする”という思いの下、ファッション業界における「楽天ファッション」のプレゼンス向上やブランドとの関係性構築を目指してきた。特に「バイアール(by R)」の立ち上げと、同プロジェクトを通じた「楽天ファッション」への参加および限定商品の販売、ショーのライブストリーミングなどにより、toB向けだったファッション・ウイークをエンドユーザーにも解放している点に手応えを感じている。今季はOMO施策として渋谷パルコと連携し、「バイアール」で支援した「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」と、他9ブランドが連動した限定商品を扱うポップアップストアをファッション・ウイーク中にオープンした。完売品も多数出るなど、ユーザーからも高い評価を得た。
WWD:東コレへの参加とともに「楽天ファッション」に新規出店したブランドもある。
松村:「アンダーカバー(UNDERCOVER)」「トーガ(TOGA)」「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEAPLE)」「アンリアレイジ(ANREALAGE)」、今季支援した「チカ キサダ(CHIKA KISADA)」「タカヒロミヤシタザソロイスト.」を含めて、これまで12ブランドが参加している。今後も、「メグミウラ(MEGUMIURA)」などの気鋭ブランドが参加予定だ。われわれのデジタルやECの知見を生かして、日本のファッション産業をエンパワーメントしていきたい。
WWD:今季の成果は?
古茂田:2月14日の参加ブランド発表から3月20日のファッション・ウイーク最終日まで、海外メディアの掲載数が前シーズンと比べて4倍強に増えた。これは、ファッション・ウイーク全体の拡散力を向上するため、AFP通信(フランス通信社)が運営するメディアプラットフォームと連携し、約1万件のメディアに向けて継続的にリリース配信したことが大きい。また、ショー来場者のスナップ企画などのデジタルコンテンツをはじめ、コレクション以外の企画も充実させたことで、総リーチ数は1 億を突破した。さらに都が主催する「東京クリエイティブサロン(TOKYO CREATIVE SALON)」と連携して、公式会場である渋谷ヒカリエと表参道ヒルズ以外のユニークベニューでショーを開催し、新たな施策として一定の成果を収めた。
WWD:課題は?
古茂田:フィジカル発表の数が増えたことで、取材側のスケジュール管理を困難にさせてしまった。ショー間の移動がタイトになったほか、開始が遅れてデジタル配信にもズレが生じることもあった。海外からの渡航はまだまだ積極化していないため、海外のファッション・ウイークとの連携やバイヤー誘致など、海外発信をより一層高めていきたい。