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特集 2023-24年秋冬オートクチュール

顧客に寄り添いながら夢を叶える至高の服作り【特集:2023-24年秋冬オートクチュール】

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顧客に寄り添いながら夢を叶える至高の服作り【特集:2023-24年秋冬オートクチュール】

多様化するニーズの中で、近年ますます広がっているのは、実際に着る人の佇まいやライフスタイルに寄り添うクチュール。パーティーやレッドカーペットで華やかさを競うためのコスチューム的なドレスではなく、最高級の素材や精緻な仕立て、そして思わずため息が出るほどの手仕事を通して顧客の期待に応える、“クワイエット・ラグジュエリー(控えめでありつつもぜいたく)”なアプローチが目を引く。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月17日号からの抜粋です)

ディオール(DIOR)

女神のような装いで表現する
クワイエット・ラグジュアリー

今季のイメージは、神話に登場する女神。サルトリア技術とハイウエストから控えめに広がる縦長シルエットが軸になった。ロングケープや “バー”ジャケット、タックを寄せたチュニック、フロアレングスのドレスやスカートを組み合わせた白や優しいメタリックカラーのミニマルなルックは、ピュアで神秘的なムード。同系色でまとめた装飾は一見控えめだが、細部までこだわった繊細さが見て取れる。“クワイエット・ラグジュアリー”を体現するようなコレクションだ。

フェンディ(FENDI)

ハイジュエリーを際立たせる
彫刻のように美しいドレス

親しみやすく着やすいクチュールを探求するキム・ジョーンズが今季の出発点にしたのは、同ブランドのジュエリーを監修するデルフィナ・デレトレズ・フェンディが手がけた新作ハイジュエリー・コレクション。彫刻のように美しいドレープや流れるようなシルエットが際立つシンプルかつ優雅な細身のドレスが、首元や指にきらめくダイヤモンドやカラーストーンを引き立てる。それだけにとどまらず、キムはジュエリーにつながる要素を服の上でも表現。アトリエの技巧を生かしたクリスタルやスパンコールの輝きやチェーンを用いた装飾、宝石のような色彩を取り入れた。

シャネル(CHANEL)

ぜいたくな手仕事をちりばめた
パリジェンヌの日常

会場は、エッフェル塔を背にしたセーヌ川沿いの遊歩道。なんともパリらしい空間を舞台に、多彩な面を持ったパリジェンヌの姿を描いた。モデルは犬を連れていたり、花が入ったかごを持っていたり。そんな日常を感じさせる演出と呼応するように、登場したルックはツイードスーツやブラウス、エフォートレスなドレスといったデイウエアが中心。そこにカラフルな花や果物の刺しゅうなど華やかな装飾をのせ、ぜいたくな一着に仕上げている。

ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)

バラとオリエンタリズムの融合

テーマはバラ。赤や黒、ゴールドを基調とした細長いシルエットに、ジョルジオ・アルマーニが「魅惑的で神秘的」と語る花をコサージュのような立体装飾やビーズ刺しゅう、ふくれ織などで表現した。そこに掛け合わせるのは、着物に見られるような松や梅などのオリエンタルな要素。異文化からの影響をクリエイションに生かすデザイナー独自の視点が光る。

ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)

オペラ座近くに移転した新本社のサロンでショーを開いた。今季は、昔から変わらず受け継がれるオートクチュールの本質に着目し、「クラシックの現代性」を表現。大胆に広がるスカートや大きくふくらむ袖など、ボリュームのコントラストを生かしたロマンチックなドレスをそろえた。ボウ、チュール、フリルなど、ブランドらしさも満載。

クチュール期間の注目トピックス

トピックス1:
アライア(ALAIA)」と「パトゥ(PATOU)」が開幕前夜に新作を発表

今シーズンも、クチュール開幕前夜にはプレタポルテのショーが開かれた。秋の2024年春夏ウィメンズ・ファッション・ウイークに先駆け、「アライア」と「パトゥ」が新作を発表した。

「アライア」

夕暮れ時の橋の上を舞台にショーを開催。ウールやレザーからシアーなニットやラテックスまでを使い、女性の肉体美をたたえた創業者に通じるようなボディーコンシャスなシルエットを連打した。ハイネックと大胆なカットによる肌見せの対比は、どこか禁欲的でありながらセンシュアル。ペンシルスカートやドレスの下に透けて見えるハイレグ&Tバックのボディースーツが、フェティッシュなムードを漂わせる。

「パトゥ」

DJブースを設けた会場は、まるでダンスフロア。ノリのいい音楽が流れる中、快活なミニ丈のドレスやスカートを中心としたガーリーなスタイルを披露した。今季のカギは、ビジューで描くジグザグ模様。キラキラ輝くヘアアクセサリーから大ぶりなゴールドのイヤリングまで、小物使いがスタイルのアクセントになる。夏の夜のパーティーの思い出を表現した、高揚感にあふれるコレクション。

トピックス2:
ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」が30周年!“水着”クチュールでお祝い

設立30周年を迎えた「ヴィクター&ロルフ」の新作は、2005年春夏の大胆なリボンや08年春夏の飛び出す“NO”モチーフから22年春夏の極端にせり上がった肩まで、過去のコレクションを象徴するデザインのオンパレード。ただ、今回は全てサテンやクレープなどクチュール的な素材で仕立てた“水着”がベースになっている。ユーモアあふれる2人らしく、アニバーサリーを祝った。

トピックス3:
ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」がラグジュアリーを極めた一点ものを披露

「ロジェ ヴィヴィエ」は、アートピースのような一点もののコレクションをお披露目した。デザインのベースとなったのは、2023-24年秋冬に発表した“ヴィヴ ショック ピローバック”。エッフェル塔やベルサイユ宮殿から街の地図、ジョセフィン・ベーカーといった人物まで、パリにまつわるさまざまな要素をラグジュアリーな素材使いと手仕事によって表現した。

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