
百貨店からショッピングセンター、個店、ECまで、さまざまなショップを覆面調査員がリポートする連載「ミステリーショッパーが行く!」。今回は、三菱地所・サイモンが2000年にオープンしたアウトレット施設「りんくうプレミアム・アウトレット」を調査。昨年8月、大阪湾に臨む“シーサイドエリア”や芝生広場などを増設し、施設全体で約250店舗、売り場面積約5万100㎡を誇る。「スノーピーク」の宿泊施設など、アウトドアテナントに強いのも特徴だ。数年ぶりにアウトレットに訪れた調査員たちはどう評価する?
■今回の担当調査員
野田肇(26):広告代理店勤務。営業として都市型SCの広告立案や販促を経験し、現在は百貨店・SCのマーケティングに携わる。学生時代からヨーロッパの古着が大好きで、将来の夢は古着屋の経営
黒田朱里(38):広告代理店出身。結婚と同時に大阪へ転居。現在はマネジメント業を営み、東京と大阪でのデュアルライフを送っている。関西に来てから百貨店ファンに。買い物は、とことん吟味してから買う慎重派
調査日時:黒田2021年9月11日(土)11:00~ 曇り 25℃、野田2021年9月20日(月)14:00~ 晴れ 27℃
ILUUSTRATION:ERI KOJIMA
【環境・施設】
野田:まず敷地面積の広さに驚きました。メインサイドエリアの店を回るだけでも1時間はかかり、シーサイドエリアまでしっかり楽しむには丸1日かかります。
黒田:同施設の開業は2000年で、アウトレットブームの真っただ中。ブームの発端となったアメリカの文化を建築から感じます。
野田:既存エリアは階段やトイレなどには経年劣化が見られました。でも、昨年できたシーサイドエリアは当然きれい。既存エリアとの統一感を残しながら、新しさを感じるデザインです。海を眺めて休憩できるスポットがすてきでした。
黒田:ロケーションが最高でしたね。建物で驚いたのは、イスラム教徒の人たちがお祈りできる「プレイヤールーム」を備えていたこと。気の利いた施策で海外旅行者はうれしいはずです。
【MD】
黒田:かつてのアウトレットはどこも同じような顔ぶれだったのですが、ここは「プラダ」「コーチ」「ディーゼル」「マイケル・コース」などの定番から、「アレキサンダー ワン」「フェンディ」「ジミー チュウ」など、「こんなブランドまで⁉」と思うブランドもそろっています。
野田:僕も驚きました。しかも、ウエアから雑貨、アクセサリーまでプロパー店舗に見劣りしない充実ぶりでした。
黒田:スポーツブランドも「ナイキ」「アディダス」「プーマ」の他、「オニツカタイガー」「サロモン」「ザ・ノース・フェイス」まで人気ブランドをカバー。「コールマン」「ロゴス」「スノーピーク」などアウトドアブランドを強化しているのも特徴ですね。
野田:「スノーピーク」はシーサイドエリアにあり、広い芝生にテントやタープが張ってありました。ロケーションを生かした見せ方で、購買意欲が刺激されます。
黒田:充実した飲食テナントもうれしい。アメリカ発の中華料理「パンダエクスプレス」の他、定番のうどんやラーメン、ハンバーガーやクレープ、唐揚げなどバラエティーに富んだラインアップです。
【接客・サービス】
野田:観光客が少ないためか、アウトレットなのに丁寧な説明を受けられました。
黒田:そうそう!意外でしたよね。どの店も必ず声を掛けてくれて、サイズ違いもスムーズに出してくれました。
野田:「スノーピーク」でコーヒーミルを眺めていると、「コンパクトで持ち運びにも重宝しますし、ふたが一体となって使いやすいです」と特徴を教えてくれました。アウトドアトークに花が咲き、気付けばケトルと合わせて購入していました。
黒田:やはり「スノーピーク」で購入されましたか(笑)。私は「ケイト・スペード」でポーチを見ていたら、「それ、リュックにもなるんです」とアプローチされて接客がスタート。色の展開や服との合わせ方のほか、「3年前にデザイナーが変わり、顧客の年齢層も変化したんです」とブランドの背景まで教えてくれました。一度店を出たものの、再度店に戻ると「おかえりなさいませ」と迎えてくれたのもうれしかった。いい買い物ができました。
【総合】
黒田:建築は古き良きアウトレットの雰囲気ですが、テナントから品ぞろえまでかなり進化していました。私のようにアウトレットから足が遠のいている人も楽しめると思います。
野田:海沿いのロケーションが本当に気持ちよくて、 行楽気分も味わえます。違う季節に再訪したい!
【合計得点】
