ファッション

「メゾン マルジェラ」は楽しみを“夢想”し、「シャッツィ・チェン」は“今を楽しむ” 日本からもパリコレVol.7

 2022年春夏シーズンのパリ・ファッション・ウイークが開催中。現地スタッフのリアルショーやイベント取材に加え、日本のスタッフもデジタルショーを中心にレビューします。

退廃的な世界でも楽しみを見出す「メゾン マルジェラ」

 「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は、“ユートピアンユース(夢想家の若者たち)”をイメージしたコレクションを披露しました。映像には、水辺で子どものように遊ぶ船乗りや、地割れした路上ではしゃぐ若者たち、モヤがかかる森で音楽を楽しむ男女が登場。退廃的な世界でも希望を捨てず、楽しみを見出す若者のエネルギーを伝えます。スタジオの裏側までを見せてクラフト感を押し出すことで、重すぎないムードに仕上げたのも好印象です。

 ウエアは、ウールコートにデニムジャケットを貼り付けたり、トワレドレスの上にカラフルなチュールを重ねたりと、クラシックなアイテムに若者も着慣れたアイテムを合わせるミックススタイル。行き過ぎた文明化や自然への欲望を反映したのか、ニットや下着、ソックスには動物のアイコンを刺しゅうし、ヘリンボーンコートやチュールドレスには羽根飾りを縫い付けるなど、自然のモチーフをふんだんに取り入れました。鳥がついばんでほつれたようなドレスや、時の経過を表現するため酵素で退色させたテキスタイルなど、細部も作り込んでいます。シューズとバッグに多用したビビッドなイエローとブルーは、古き良きフィッシャーマンをイメージしたもの。太ももまで隠れたロングブーツは、たしかに漁師っぽいです。

 リアルではなくデジタルで、しかもダークな世界観の映像。クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノ(John Galliano)は、まだまだ社会を楽観視していないようですね。それでも彼のクリエイションには、「手に取りたい」と思わせる仕掛けと、メッセージを伝えるディレクションセンスが詰まっていました。

「今、この瞬間の輝き」をサーカスショーに見立てた「シャッツィ・チェン」

 1978年に台湾で誕生した「シャッツィ・チェン(SHIATZY CHEN)」は、サーカスショーをイメージした映像をオンライン配信しました。ディレクターのワン・チェン(Wang Chen)が「私たちは、今、この瞬間も輝いている。バランスを必要とせず、喜んで冒険する」と語る通り、厳しい状況でも今を楽しむメッセージが詰まったコレクションでした。

 コレクションのベースは、ブロケードを使ったテーラードジャケットやドレープが際立つハイウエストパンツ、シルクのドレスなど、エレガントな素材とシルエットのアイテムたち。そこにフリルシャツやシルクハット、ピンヒール、コルセット、ダイヤチェックなど、西洋のサーカス衣装に着想したアイテムと柄を加えました。虎のグラフィックや火の玉のイラスト、曲芸師のパフォーマンスなど、東洋を連想するディテールや演出も差し込み、多様な地域と人種をミックスします。さらにラッパや星、丸、三角、四角のアイコンなど、子ども時代に楽しんだおもちゃや図形を手書き風のイラストに落とし込んで、“今の楽しさ”を強調しました。

 あくまで“夢想”と説明する「メゾン マルジェラ」とは対照的に、“今を楽しむ”と明言した「シャッツィ・チェン」。メッセージは異なるのに、映像のムードが似通っていたのが面白かったです。

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