ファッション

「バルミューダ」から新作コーヒーメーカーが登場 新商品で淹れたコーヒーで1日が始まりワインで終わる寺尾社長の素顔に迫る

 「バルミューダ(BALMUDA)」から新製品コーヒーメーカー“バルミューダ ザ・ブリュー(以下、ザ・ブリュー)”が登場した。寺尾玄バルミューダ社長兼チーフデザイナーから直々にそのプレゼンテーションが受けられるということで、東京・武蔵境のバルミューダ本社へ向かった。会場はオフィスの一角で、至ってリラックスした雰囲気。新作“ザ・ブリュー”などが置かれた空間で寺尾社長のプレゼンテーションが始まった。ここでは、新作の開発秘話や寺尾社長の素顔などを紹介する。

WWD:コーヒーメーカーを開発したきっかけは?

寺尾玄バルミューダ社長兼チーフデザイナー(以下、寺尾):“バルミューダ ザ・トースター”の第2弾として発売しようと考えたのが約6年前。頓挫しては復活したが結局、うまくいかず商品化はできないと思っていた。ところが、コーヒーマニアの太田剛平エンジニアが入社して流れが変わった。面白い方法で開発できればと思ったが結局中止。だが、太田君は自宅で研究を続けて新しい方法を見つけた。そしてテイスティングしてみたら「これは、おいしい」と商品化することにした。製品化まで約2年半かかり完成した今では、私自身、「バルミューダ」の製品の中で一番使うものだ。

WWD:どのような製品か?

寺尾:プロポーションへこだわり、縦長で幅はできるだけ狭くした。なぜなら、日本の家庭のキッチンは、奥行きはあるが幅がないから。今までキッチン家電を手がけてきたが、“ザ・ブリュー”は佇まいにエレガンスがあり、モダンクラシックの完成形だと思う。バリスタが使う“王道”の円錐型ドリッパー、真空二重構造のサーバー、ウオータータンクから構成されるオープンドリップ方式を採用。抽出のためにお湯を注ぐ注湯口が2箇所あり、1つはコーヒーを抽出するため、もう1つは最後に仕上げの加水をするバイパス注湯の役割を果たす。この2つの注湯口がストロングでクリアな味わいを生み出す。コーヒーの抽出は、適切な湯量と温度が大切。後半になるとコーヒーの雑味やえぐみ、渋みが出てくるからだ。それらが出ないタイミングで抽出をやめてお湯で濃く出たコーヒーをちょうど良い濃度に割るという方式だ。モードは、ホットがレギュラーまたはストロング、アイスの3つ。どんなコーヒーでも“ザ・ブリュー”で淹れるとその最高の味を引き出せる。

デザインと味のクオリティーの妥協は一切なし

WWD:開発するのに苦労した点は?

寺尾:商品化のスタート地点はビジョンから。家電の役割は誰もが簡単においしさなどの感動体験を提供するのが役割だと思っている。だから、理想形を思い描いてその再現性をひたすら高める。抽出するための穴の数から、各パーツの距離などベストな組み合わせに辿り着くまでに何度も実験を繰り返した。それは常に行っていることだが、“ザ・ブリュー”では、デザインと味のクオリティー両方を落とさず商品化するという点が一番のチャレンジだった。コストダウンは製品開発につきもの。だが、“ザ・ブリュー”は、どれも妥協できず貫き通した。

WWD:エスプレッソからサードウェーブまでさまざまなコーヒーがあるが?

寺尾:コーヒーは香ばしさや華やかさを味わえる飲み物。そのおいしさは熱を加えることでおいしくなるメイラード反応によるもので、香ばしいトーストや焼肉などと同じ。メイラード反応による香ばしさの記憶が人間のDNAに刻み込まれているから人々はコーヒーを欲するのだと思う。“ザ・ブリュー”では、さまざまなコーヒーの中でも誰もがおいしいと感じるピュアでポップなコーヒーを目指したつもりだ。

WWD:今後の予定は?

寺尾:今までの5年間はキッチン家電をつくってきて、“ザ・ブリュー”という完成形ができた。11月に携帯電話を発売予定だ。1日一番使うもので、より便利なものがつくれればと思っている。

宝物は「バルミューダ」なぜなら、ドラえもんレベルだから

WWD:典型的な1日のスケジュールは?

寺尾:1日は朝“ザ・ブリュー”のコーヒーで始まり、ワインで終わる。会社ではミーティングがほとんどで、それは試合のようなもの。いかに短く言い早く終わらすかが勝負だ。ほかデザインや文章などに時間を費やしている。

WWD:自身のファッションスタイルを表現すると?

寺尾:ミュージシャンっぽくあろうとしている。スーツは持っていないし、ネクタイも白と黒1本ずつ。

WWD:座右の銘は?

寺尾:ライフ・イズ・ショート。それが行動のもとになっている。母が亡くなったときに身をもって感じた。生きているから、おいしいものを食べることができるし、楽しい話もできる。

WWD:愛読書は?

寺尾:シャーロックホームズ。本を読まないと眠れないので、よく読む。私は、武蔵境のシャーロックホームズと呼ばれている。なぜなら、シャーロックホームズは現象を観察し推理して事件を解決する。われわれがしていることも同じで、事件の解決がビジョンの実現に置き換わっただけだ。

WWD:休日の過ごし方は?

寺尾:朝、コーヒーとIPA(ビール)を飲み、「今日も飲むぞ!」とスタート。午後はボクシングに行って、夜は赤ワインを飲む。ナパやボルドーが好き。飲む理由は、単に酔っ払いたいわけではなく、頭の強制終了が必要だから。そういう意味では、常にアルコール消毒しているかも(笑)。

WWD:料理は?

寺尾:週に3〜5回する。平日は夕飯、休日は昼と夜両方つくる。得意料理はペペロンチーニで76点くらい。たまに、包丁で手を切って痛い思いもするが腕は上がっていると思う。

WWD:尊敬するアーティストは?

寺尾:ミュージシャンだとキース・リチャーズ(Keith Richards)、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)、作家ではガルシア・マルケス(Garcia Marquez)やウンベルト・エコー(Umberto Eco)、アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)。

WWD:自身の宝物は?

寺尾:「バルミューダ」。世の中にない欲しいものをつくれるから。ドラえもんレベルだと思っている。

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