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人気家電のバルミューダ創業者が語る 「上場は株主をワクワクさせるバスの運転」

 人気家電メーカーのバルミューダ(BALMUDA)が12月16日、東京証券取引所マザーズで上場した。同社は2003年に寺尾玄バルミューダ社長が一人で創業。LEDデスクライトや扇風機などの空調家電を製造販売後15年にキッチン家電分野に参入。今だにベストセラーであるスチームトースターをはじめ、電気ケトル、炊飯器、オーブンレンジなどを開発してきた。20年にはホバー式クリーナーを発売。日本の家電にはないデザイン性の高さと、実験に実験を重ねて開発した独自の機能が評価されて売り上げを伸ばしてきた。今では、社員は100人以上、20年12月期決算の売上高は123 億円を見込んでいる。開発や補償などハードルが高い家電業界で独自の路線を歩んできた同社を率いる寺尾社長に上場への思いを聞いた。

WWD:上場を視野に入れたのはいつ頃か?

寺尾玄バルミューダ社長(以下、寺尾):約5年前から。私一人で事業を立ち上げて小規模ながらも年商30億円まではスムーズに成長できた。在庫の問題など管理能力をつける必要があったし、他の上場企業と同じレベルの商品の品質向上が目的で上場した。資金調達の手段が多くあるため、われわれにとって大きなチャレンジだが、目指すべきスケールとのギャップを埋める方法だと考えている。

WWD:株式公開価格は当初の予想を大幅に上回ったが?また、上場セレモニーを行わなかった理由は?

寺尾:公開価格はコントロールするつもりだったが、ありがたい結果になった。上場セレモニーは、東証への敬意と従業員への感謝を込めて身内だけで一つの節目として厳かに行った。なぜなら、私は、上場=めでたいと思っていないから。株主から出資してもらい、彼らの資金を運用していかなければならない。上場すると経営の自由度が下がるという考え方もあるが、私は、むしろ、経営の難易度が上がると考えている。

WWD:調達した資金をどのように使うか?

寺尾:商品開発と人材確保などの組織増強に投資するのはもちろんだが、「バルミューダ」というブランドの価値観を伝えるための広告宣伝を積極的に行うつもりだ。それを通してブランドバリューのアップを図りたい。

WWD:上場における大きなチャレンジは何か?

寺尾:全てがチャレンジといってもいい。われわれの商品は開発から量産完了まで長い時間がかかる。また、一度発売したら6〜10年と販売期間が長い。だから他社以上に長期の品質管理や補償システムが必要になってくる。また、われわれが持つ独自の価値観をどのように消費者に伝えるのかというのが、大きなチャレンジだ。

WWD:バルミューダの一番の強みは何か?

寺尾:キレのある企業であること。われわれが信じる自由な発想やアイデアを形にできる。創業社長がいるので、経営判断のスピード感があり、責任を持ちつつ大きな変化を選べる点だ。

WWD:新型コロナウイルスのビジネスへの影響は?

寺尾:良い面、悪い面、両方ある。巣ごもり需要で、われわれの商品への関心度が高まったのは良かった。しかし、渡航禁止などで生産工場へ行くことができず、トースターのリニューアルやクリーナーの発売が遅れた。そういう意味でも年間販売数は減っている。

WWD:上場後の抱負は?

寺尾:今までは仲間と一緒に改造車を運転してきたが、これからは、株主というお客を載せたバスを運転するというイメージだ。だから、緊張感を持ちながら株主をワクワクさせながらバスを運転してすばらしい到着点へ向かいたい。

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