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第2の「バルクオム」は誕生するか 「ロジック」や「ムルク」など新規参入で盛り上がるD2Cメンズコスメ

 最近D2Cメンズコスメが盛り上がっている。その代表として挙げられる「バルクオム(BULK HOMME)」は、昨年サッカーのキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)選手をグローバルアンバサダーに起用し話題となったが、さらに今春には俳優の木村拓哉を起用したテレビCMを放送するなど、その勢いは増すばかりだ。そうした「バルクオム」の影響もあってか、D2Cメンズコスメ市場に新規参入する企業が増えている。昨年11月には、店頭プロモーションの企画・運営を行うパルディアが俳優の大森南朋をアンバサダーに起用した「イッキ(IKKI)」が、この2月にはユーザーが使ってから値段を決める“あと値決め”決済を導入した「イーヴォ(IYVO)」がスタートした。

 そして今春、新たに「ロジック(LOGIC)」と「ムルク(MULC)」が登場した。「ロジック」は企業のブランディングやプロモーションなどを行うクリエイティブ・エージェンシーのパークが手掛けたメンズスキンケアブランドで、「昨今の男性の美容意識の高まりや価値観の多様化に対して、それに応える選択肢が少ないと痛感し、自らメンズブランドをつくることにした」とパークの佐々木智也コスメ事業責任者はコメントする。ブランド名については、「ハードワーカーに向けて“合理性”を追求したスキンケアであること、そして仕事のパフォーマンスを向上させるための『戦略』のひとつになること――そのようなニュアンスを感覚的に携える言葉として“ロジック”と名付けた」。現在製品は泡洗顔とミストタイプの化粧水を展開。“ワークツールとしてのスキンケア”をコンセプトに、仕事を楽しむハードワーカーに向けて60秒で完結するミニマルなケアを提供する。

 一方の「ムルク」は、恋活・婚活のプロフィール写真に特化した撮影サービスを展開してきたセプテーニ・ベンチャーズが展開するメンズメイクブランドだ。「マッチングアプリ専門のプロフィール写真撮影サービスを展開してきたが、その中で『青ひげやクマやニキビ跡などをナチュラルにカバーするメイク施術付きプラン』を試験的に提供したところ予想以上の反響をいただき、メンズメイクの力に可能性を感じた。私自身の関心と市場の盛り上がりがタイミングよく重なったことで、自分で化粧品を作ってみようと決心した。ブランド名の『MULC』は“メイクであなたをかっこよく見せる”という意味を込め、“Make You(U) Look Cool”の頭文字を取った」と香美惇「ムルク」プロデューサーは語る。BBクリームとアイブロウペンシルを展開し、徹底的に男性が使用することにこだわった。ブランドコンセプトは“なりたい自分を勝ち取る剣”。

 またメンズコスメではないが、矢野亜也那コティスエルト代表が始めたジェンダーレスコスメ「アイロ(ILLO)」も6月にスタートした。「ある時期から、コスメの表現やメッセージが女性に向けたものばかりに違和感を覚えるようになった。周りにはメイクを楽しむ男性や、身だしなみにコスメを取り入れる男性が増えている中で、メイクは女性のものだけではないはず。多様性や個が認められる時代だからこそ、好きなものは好きと自分自身で選べるニュートラルなコスメブランドとして、社会の枠や性別にとらわれずにメイクを楽しむことを発信できるブランドをつくった」とその思いを語る。男性女性関係なく使えるものを意識し、商品のカラーにはニュートラルなカラーを中心に使って、肌なじみのよさを意識したファンデーション、ペンシルブロウ、セミマットリップをそろえる。

 こうして続々と参入するD2Cメンズコスメの特徴は、クラウドファンディングからスタートすることだ。最近はD2Cコスメを始めるときにテストマーケティングとしてクラウドファンディングを活用するケースが多く、それによってD2Cで重要な早期のファン獲得ができるほか、またユーザーのフィードバックをもとに製品のアップデートにつなげられる。「ロジック」は7月2日時点で、300万円以上の支援金を獲得。「ムルク」は344人から169万2100円の支援金を集めてクラウドファンディングを終了。「アイロ」はまだスタートしたばかりだが同様に20万円以上の支援金を集めている。こういったクラウドファンディングの活用から成長へ。「バルクオム」の次のD2Cメンズブランドの台頭に期待が掛かる。

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