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500万ダウンロードの人気の口コミアプリ「リップス」の松井友里氏に聞く“ヒットの秘訣”

 アップブリュー(APPBREW)が運営する美容系口コミサービス「リップス(LIPS)」は、開始から3年2カ月で500万ダウンロード、月間サービス利用者数(以下、MAU)は1000万人を突破し、月間PV数は2億PVを超えるなど、ますます人気となっている。さらに4月15日には約11億円の資金調達を実施。5月20日には「リップス」発のD2Cコスメブランド「ミオル(MEOL)」をスタートさせるなど、勢いは増すばかりだ。今回。「リップス」人気の立役者である松井友里取締役に同サービスの強みとこれからについてを聞いた。

WWD:サービス開始から3年2カ月で500万ダウンロード、MAU1000万人という数字から順調に成長していると感じる。

松井友里(以下、松井):2017年1月にサービスをリリースして、18年6月に100万ダウンロードを達成し、その後19年3月に300万ダウンロード、19年9月に400万ダウンロード、今年3月末に500万ダウンロード、MAU1000万人を超えました。18年12月にローラさんを起用したテレビCMを放送して、そこから認知度が高まって、半年で100万ダウンロードずつ伸びています。

WWD:今なお新規ユーザーが増えているが、何をきっかけで知ることが多い?

松井:ユーザーさんの 意見を聞くと、ユーチューバーさんの動画から知ってくれる人が多いです。初期の頃は有名なユーチューバーさんにPRを依頼していたのですが、最近はマイクロなユーチューバーさんに依頼して、そこから知ってくれてダウンロードしてくれている方も多くいらっしゃいます。あと、SEOにも注力し、“〇〇(商品名) 口コミ”で検索すると「リップス」のウェブページが上位に表示されるようになってきています。「リップス」はアプリのイメージが強いですが、ブラウザで見る人もここ最近は非常に増えています。

WWD:500万ダウンロード達成は想定していたよりも早かった?

松井:ほぼ計画通りです。ただダウンロード数よりもウェブも合わせたMAUの方を重視していて、MAUで国内トップを目指しています。現状、国内最大級の口コミサービスにもだいぶ近づいてきています。そうは言っても、やはりアプリユーザーの方がエンゲージメントは高いので、アプリユーザーも増やしつつ、全体のMAUを上げていければと考えています。

WWD:これほどまでに「リップス」が人気となった要因は何だと分析している?

松井:若者が普段から慣れ親しんでいるSNSのフォーマットでサービス展開できていることが大きいのではと感じています。いわゆるミレニアル世代の若い方々は商品を購入、選択する際に「身近な人からの口コミ」を強く意識する傾向にあります。また、情報を取得、消費するだけではなく発信することで、自分の発信したコンテンツを評価してほしい、誰かによい影響を与えたいと思っている方も多くいらっしゃいます。「リップス」は両方のニーズを捉えられたことが、多くの方々にご利用いただけている要因かなと思っております。

「リップス」内で多くのフォロワーを抱える
人気アカウントも誕生

WWD:公式インスタグラムのフォロワー数も63万と多い。

松井:そうですね。インスタグラムに関しては広告を一切打たずにオーガニックでここまでフォロワー数が増えたのですが、現在23歳の女性が運営しています。今は1日6投稿を目安にしていて、「リップス」内での人気の投稿をピックアップして転載しています。その運営担当者もコスメ好きなので、どんな投稿が伸びるのか、その分析に長けています。今後は広告も運用しながら、直近で75万、いずれは100万フォロワーを目指したい。

WWD:「リップス」自体のユーザー層は変化している?

松井:検索からのユーザーも増えてきたので、全体的には少し年齢層は高くなりました。アクティブに投稿しているのは20代の若い人が多いです。とはいえ年齢に縛られることはなく、美容に興味のある人に使っていただきたいです。

WWD:「リップス」内でフォロワー数が多い人だとどのくらいの数?

松井:「リップス」だと、36万フォロワーがトップです。でも、「リップス」内で30万くらいフォロワーがいる人でも、ツイッターだと6万フォロワーだったりする。他のSNSよりも多くのフォロワーを抱えたユーザーが誕生してきているのは、やはり「リップス」自体が大きくサービスとして成長してきていることもありますが、ユーザー同士のコミュニティーが活性化されていることも要因だと考えています。もちろん他のSNSとも連携している人がほとんどですが、「リップス」をメインにしている人は多く、製品データベースと投稿が紐づけられたり、文字制限がなかったり、画像を大きく表示できたり、投稿をストックしていく場所として使いやすいのだと思います。

WWD:タイアップ案件も増えてきている?

松井:増えてきています。最初はドラバラ系のブランドが多かったですが、昨年の末くらいからデパコス系も増えてきました。サンプリングは新客との接触機会を創出するということでずっと人気のプランなのですが、最近はコンテンツチームも体制を強化し、オリジナルの記事制作にも力を入れていて、実際に製品を使用してレビュー記事を書くというプランも人気になっています。5Gに対応した動画関連のプランも始めています。

WWD:“LIPS for Brand”というサービスも提供しているが?

松井:これはブランドに「リップス」内で公式アカウントを開設していただいくサービスです。現在この公式ブランド数が100ブランドを超えました。プランによっては分析機能が追加されて、競合製品と比較して口コミの推移がどうなっているかが分かるので、マーケティングツールとして活用していただいています。この上位版(プレミアムプラン)に加入しているブランドは基本的に継続して使用していただいていますので、さらに顧客満足度を高められるよう引き続き機能改善を実施していきたいと考えています。

WWD:現在は外部サイトの製品販売ページにリンクを飛ばしているが、いずれは自社ECも考えている?

松井:今のところは考えていないです。

D2Cコスメ「ミオル」など
新しい試みもスタート

WWD:今後の新しいサービスや施策は?

松井:アプリの「リップス」内でのコミュニケーションが活性化するようなものを仕込んでいきたいと思っていて、コミュニケーション軸とコスメを探すツールとしての利便性の軸の両軸を同時に強化していくつもりです。今は製品だけでなく、そこで色のパターンも見られるようになっているのでより探しやすくなっています。あとはそのユーザーに合ったレコメンドの精度を高くできるようにアルゴリズムを改善していきつつ、新たなコスメとの出合いの機会を創出していきたいです。

WWD:「リップス」発のD2Cコスメ「ミオル」をスタートさせたが、その狙いは?

松井:もともと「リップス」は美容を愛する多くの方々に利用していただいており、ユーザーさんを毎日見ている中で「人々の価値観やニーズは日々絶え間なく変化していくんだな」ということに気づきました。もちろんプラットフォームという立場から生活に少しでも役立つことを提供していきたいと思っていたのですが、もう一歩踏み込んで生活者の美容体験を向上させる役割を担っていきたいと思ったのがブランドを立ち上げるきっかけとなりました。

生活者の価値観の変化の瞬間を絶え間なく捉え、「ミオル」もユーザーと一緒に変化と成長を遂げるブランドでありたいという思いで、ユーザーの「欲しい」という声を徹底的に追求し、品質向上な使用と向上を目指すスキンケアブランドに育てていきたいと考えています。

WWD:「リップス」自体が大きく成長してきて、松井さんの役割も変わってきている?

松井:「リップス」は軌道に乗っているとはまだまだ言えないですが、ある程度は体制が整ってきたので、今は「リップス」も見つつ、新規事業の立ち上げをメインにやっています。アップブリュー自体がアプリ開発の会社なので、「リップス」で学んだことを生かしつつ、次の柱となるアプリも作っていかないといけないなと考えています。新規事業はまだ小さなチームでやっていて、新規プロダクトはテスト運営をして、さまざまなデータをとりつつ改善しているところです。