ファッション

「教育」が断絶している エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「教育」が断絶している

 高いモノには理由がある。安いモノにはワケがある。

 実に当たり前ですが、多くの消費者は「ファッションも同じ」と認識してない気がします。対照的に、そんな「教育」が普及しているように映る業界があります。「食」です。

 高いモノは美味しい。高いモノは体にも地球にも良い。高いモノは、丹精込めて作られている。「食」では皆さん、そう思っていますよね。一方、ファッションはどうでしょうか?高いモノは素敵(多分)。高いモノは心地良く、自分にも地球にも優しい(おそらく)。高いモノは、丹精込めて作られている(コレは、だいたいそんなカンジ)と、全く同じです。でも「食」の分野では大勢が「今日は、無農薬野菜を買ってみようか?野菜の味が強くておいしいね」ってなるのに、ファッションの世界で「今日は、ラグジュアリー・ブランドで洋服を買ってみようか?やっぱりステキだね」って人はずっと少ない。なぜでしょう?「高い」と「安い」の価格差でしょうか?答えは、「教育」の有無、もしくは連動・連続性にあると思っています。

 「食」は、消費者への「教育」が首尾一貫していると思うのです。生産者は地球に優しい環境で作ったことを発信するし、八百屋さんとかもそれをアピールしますよね?料理人も同じだし、メディアだってそう取り上げます。でも、ファッションは?素材の生産者から料理人に相当するデザイナーやブランドに至るまでの多くが口下手なのは言うまでもありませんが、加えて生産者とブランドではアピールポイントが異なっているので、「教育」が一本化していない状態です。

 例えば「食」の世界は、生産者も料理人も「無農薬野菜は美味しい」と「教育」してくれますが、ファッションの世界はどうでしょう?素材の生産者は「オーガニック素材は地球に優しい」と訴えますが、多くのブランドは「ステキなデザイン」にフォーカスします。「教育」が断絶しているのです。そして、「高いモノが、なぜ高いか?」については、ブラックボックスがまだまだ。多くの消費者は、「ユニクロ(UNIQLO)」なら1枚1000円のTシャツが、どうして・どうなったら数万円になってしまうのか理解できていません。消費者が、「高いモノには理由がある」と認識しづらいのでは?と思うのです。

 「食」の世界で「教育」が一本化している理由はなんでしょうか?多くの料理人が、生産者の野菜に直接触れているからでしょう。一方ファッションの世界は……?ブランドでさえ、素材メーカーと直接やり取りするケースは多くない気がします。

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