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新型コロナウイルス蔓延の香港は今 現地のファッション業界人のリポート

新型コロナウイルスが猛威をふるい、中国国内の製造業は2月9日まで休業している。ほとんどのファッション企業が中国で生産を行っており、春物の納期の遅れなどビジネスへの影響が懸念される。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする条例の大規模な抗議デモに続き、新型コロナウイルス蔓延で香港の小売業も大打撃を受けている。現地の大手下着メーカーの営業兼MDに香港の現状をリポートしてもらった。

 1月29日の旧正月明けから多くの企業がひとまず31日までの在宅勤務許可・勧告を発令した。翌週も引き続き在宅勤務許可・勧告を採用する企業が多く、現状では「さらにもう1週間かも」と言われている。マスクや消毒剤などは日本と同じくモノがなく、どう情報が流れるのか、急にとある薬局や道端に行列ができ、マスクに群がる人人・・・。捨てられたマスクを拾って洗って再度売る行為も本当にあるようで、購入したばかりという汚れたマスクの画像が飛び交っている。また、食料品を買いだめする人が多く、東日本大震災を思い出した。だが、まだおおよそ、マスクや消毒剤以外のものならば手に入る。

 病人が出たアパート名や政府指定のホテルなどの隔離施設といった情報が流れてくる日々。やたら、「ワッツアップ(WhatsApp)」のグループチャットが忙しく口コミで拡散されている。在宅勤務の人が多いため、バスや地下鉄は通常の2/3、ところによっては半分のイメージだ。週末は目抜き通りの尖沙咀(チムサーチョイ)の人通りも少なく、通常の半分程度。ショッピングモールやレストランはガラガラ。だが、香港内に数店舗あるドン・キホーテだけはいつもより少ないとはいえ混んでいる。ここにはまだモノがあるので安心した。デモのあとにこれかと思うと経済的にかなりつらいものがある。

資材サプライヤーがいつ稼働するかが鍵

 弊社の場合は、香港オフィスは旧正月休暇が1月30日までで、31日から通常出勤している。朝、出勤したら全社員の体温測定と記録、マスクが1日1枚支給され、オフィスでも基本マスク着用を徹底。妊婦は在宅勤務が許可された。在宅勤務希望者は上長と相談の上、許可が下りれば可能だ。2月4日からは全社員にラップトップPCを貸し出し、在宅勤務可能な環境を作るようにと指示が出た。中国の自社工場は1月29日より稼動開始予定だったが、広東省の規制もあり2月3日まで休業。それがさらに延長され現状では2月9日まで伸びた。10日に稼動できるかは今のところ分からない。

 10日から稼動できるといいのだが、それでも弊社の場合1週間の遅れがあり、納期に響く生産分もあると予測される。例えば、日本向けに3月末に出荷予定があるが、まだ資材生産が終わっていないため、どの程度納期遅れになるかは、いつ資材サプライヤーが稼動できるかが鍵になってくる。弊社が稼働できたとしても、資材サプライヤーが稼働できなければ何もできないから。社内的な優先順位もあるので、資材をめぐって熾烈な争いとなりそうだ。また企画途中の製品があるためサンプルルームが相当に混雑し、残業も多くなる。とはいえ、CSRの関係もあり、そんなに残業もさせられない。だから、コストにその分オンされてしまうだろう。弊社の場合、インドネシアやバングラデシュなどに生産拠点があるが、資材の多くは中国製で、中国の工場で検品まで済ませて各地工場へ送り込んでいるので同じく打撃を受ける。