
舞台、映画、コンサートなど、多彩なシーンを彩る衣装の世界。その華やかさの裏側で制作現場では、デザインと表現の追求に加え、短納期、低報酬、報酬の未払い、作品の紛失など、さまざまな課題が潜んでいる。今回、衣装ユニット「ドゥッカ ヴィヴィット(DOKKA VIVID)」の夏明豊と菅内のど佳が、ファッションやクリエイティブ分野に詳しい小松隼也弁護士と海老澤美幸弁護士に相談を持ちかけた。業界構造の問題点からクリエイターが自らを守るための具体策を掘り下げる。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月4日号からの抜粋です)

(左)菅内のど佳/「ドゥッカ ヴィヴィット」 ファウンダー・デザイナー
(右)夏明豊/「ドゥッカ ヴィヴィット」 ファウンダー・デザイナー

(左)小松隼也/三村小松法律事務所 代表弁護士 リーガルディレクター
(右)海老澤美幸/三村小松法律事務所 弁護士、ファッションエディター
CASE 1
Q. 制作費の未払いや減額を防ぐには?
お悩み:「衣装の制作依頼は、個人対個人のやりとりが多く、どうしても口約束で進んでしまうケースが目立ちます」と話す菅内デザイナー。特に、学生やフリーランスで活動している若手制作者は、法的な知識が乏しいまま仕事を請けることも多く、スタイリストやクライアントからの発注でトラブルに巻き込まれやすい実態があるという。
A. 口約束はNG。LINEやDMでも「書面」に残すこと。
回答:海老澤弁護士は、「契約書の作成はハードルが高い場合は、重要な項目を箇条書きでもいいので決めて、LINEやDMなど何でも良いので文面に残しておくことが重要」という。小松弁護士は、グラフィックデザイン業界で使われている発注書・受注書のひな形を参考に、発注書の特記事項に必要情報を明記することを推奨。
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