
SNSを主戦場に、自身の世界観を発信する学生デザイナーが台頭している。独創的な衣装制作でアーティストから注目を集めるもりもり、SNS戦略を駆使してブランドを展開する西脇駆。彼らに共通するのは、単なる技術や流行にとどまらない、強い表現欲求と情報発信力だ。ファッションに内在する感情や思想を、ネット空間を通じて社会と接続する新たな世代。その取り組みは、学生という枠を超えた影響力を持ち始めている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月4日号からの抜粋です)
戦略家の「デッドボーイ」現役学生デザイナー
衣装提供は“共鳴する人”のみ
文化服装学院アパレルデザイン科の3年生として学びながら、自身のブランド「デッドボーイ(DEADBOOY)」を立ち上げた西脇駆(21)。音楽アーティストへの衣装提供、SNSを駆使した巧みなプロモーションで注目を集め、在学中にもかかわらず、その名は既に学生の枠を超えて広がりつつある。

西脇駆/「デッドボーイ」デザイナー
ファッションに魅了されたきっかけは、中学3年生の時に出合ったブランド「ナインティナインパーセントイズ(99%IS)」。その強烈なデザインに衝撃を受け、「自分もこんな服を作りたい」と文化服装学院への進学を決意した。
昨年立ち上げた「デッドボーイ」では、年に1度のコレクション発表を目標に掲げている。今年3月には学内選考を勝ち抜き、初のランウエイショーを披露。アメリカのホラー映画を題材に、ダメージ加工やコンピューターニット、自身のイラストを生成AIに読み込ませて制作したグラフィックなど、斬新なデザインで高い評価を得た。
当初はSNSのフォロワーも少なかったというが、その状況を一変させたのが、TikTokとThreadsの活用だった。ショーをきっかけにTikTokでは広告を打ち、積極的に投資。Threadsでは、2枚の写真に「Made by Me(私が作りました)」という文面を添えると海外ユーザーに響きやすく、海外の時差を考慮して投稿するとバズりやすいと分析。ハッシュタグは「下手に出ている感じがする」という理由から使わない。マーケティング戦略には目を見張るものがある。
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