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「オジさん」は嫌いな言葉 エディターズレター(2020年10月28日配信分)

※この記事は2020年10月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editor's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「オジさん」は嫌いな言葉

 「なんで俺が?」「それは私の仕事ですか?」。

 「オジさん」と言われれば甘んじて受け入れますが、この言葉を安易に発する人は、どうも好きになれません。というか「あ、言ったね」と心に留め、結構ずっと忘れないタイプ(笑)。「アナタ、その時点で成長はないよ」と感じ、心の中で書き溜めている「未来を共に歩む人」リストから削除してしまいます。良くないクセなんですが(本当に、そう思っています)、リストに再度名前を連ねるのは至難の業です。

 例えば弊社では、「リリース起こし」という業務が存在します。毎日、毎時間届くプレスリリースの中から、対応すべきを取捨選択して記事化する仕事です。取捨選択は記者本人はもちろん、デスクが担い担当者に指示することも多いのですが、時々、実に大変そうで頭が下がります。「なんで私が?」を繰り出され、指示しきれなくなってしまうのです。

 仕事を振られた担当者(まぁこの場合、まだ「担当者」にもなっていないのですがw)にも、事情があるのは理解しています。忙しいことも分かっています。でも「リリース起こしは、私の仕事じゃない」と思っているのだとしたら、言語道断です。あ~、嫌だ嫌だ。だってその裏側には、「与えられた情報を、そのまま書き起こすなんて」という感覚が潜んでいますよね?情報発信を生業とする人間にとって、取得方法は自発的なものが全てではないでしょうし、そもそも「そのまま書き起こす」ことが「リリース起こし」という仕事だと思っているのだとしたら、そこから間違っているのです。「記者なら追加で取材したり、日々の仕事で得た知見を盛り込んでください。だから、アナタに頼んでいるのです」と思うのですが、「リリース起こし」という言葉に由来するイメージがあるせいか、この仕事は「自分で取材して、記事を書く」という業務の数ランク下に位置する「作業」と思い込んでいる人が少なくありません。なんという悲しさでしょう。断るなら記者として、「このリリースの記事化は、ユーザーのメリットにならず、媒体として価値がありません」と主張して、説き伏せてほしい。それができないなら、指示を受け入れなさい、ってハナシです(オジさん、全開ですかw?)。

 言わせてもらいますが、私だって「リリース起こし」しているワケですよ。下のリンク1本目が、ソレ。あいにく「日々の仕事で得た知見」よりは「マニアゆえの愛」を盛り込んでしまった感がありますが、「作業」としての「リリース起こし」をしただけの記事とは違う次元のコンテンツだと自負しております。記者には、こんな「リリース起こし」を期待しているワケです。2本目の記事も、いくばくかの創意工夫を試みています。

 長々社内の話をしてしまいましたが、こういうコト、いろんな会社に存在するのではないでしょうか?「職業に貴賎なし」同様、「業務にも貴賎なし」ですよね?

 時に部下の“たらい回し”に遭遇して可哀想なデスクには、「リリース起こし」という名前を改め、この業務の価値を社内に啓蒙し、システムを改善することを模索する提案をしてみようか?と思います。この言葉から連想する「作業感」、説明が不十分な指示と、そうせざるを得ないシステムが、問題の本質に大きく影響している気がするのです。何がいいんだろう?そんなコトを考えています。

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