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47社のアパレル・ビューティ企業トップ取材から浮き上がった「ビジョン」と「具体策」の違い

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 弊紙1月25日号は「CEO特集」だった。編集部を挙げてファッション企業とビューティ企業計47社のトップを取材し、読めば各社の考え方や業界全体の方向性をつかむことができる特集を目指した。「CEO特集」は弊紙が12年間恒例で行ってきたものではあるが、パッと見て今年は例年となんだか違うと感じた方もいるかもしれない。これまでは各社トップの顔写真をズラリと並べるのが同特集の表紙の定番だった。それを今年は、特集テーマである各社の「2040年のビジョン」をイラストにしたものを47社分コラージュする形に変えたのだ。(この記事はWWDジャパン2021年2月1日号からの抜粋です)

 従来のように経営トップの顔写真を並べる方式も、取材先などから一定の支持はあった。だが、これだとトップが男性ばかりだということが非常に目立つのだ。昨年までの表紙について、SNS上では「(女性の市場の方が大きい)ファッションの世界でも、経営者となるとやっぱりこういう感じなんだね(男性ばかりで多様性がない)」という声があがっていた。そうした声を受けてわれわれは表紙の作り方を変えたわけだが、だからといって、ファッション企業も他の多くの日本企業と同様に、経営層が圧倒的に男性であるという事実は変わらない。実際、今年紙面に登場いただいた19人も昨年と同じく全員男性だった。一方、ビューティ企業は28社中、女性が4人。これだってまだまだ少ないが、それでもやはり、女性の活躍という点でビューティ企業はファッション企業の一歩先を行っている。ファッション分野の担当記者として、そして自身も一人の女性として、ここはぜひファッション企業にも意識を高めてほしいポイントだ。

 さて、各社の「2040年のビジョン」をイラスト化し、表紙を作ってくださったのは、グラフィックレコーダーの田辺エリーさんだった。グラフィックレコーダーとは、議論や講演内容などをビジュアルに落とし込み、分かりやすく伝える仕事。議論が可視化されるとして、グラフィックレコーディングは近年ビジネスの場でも注目を集めているという。各社の考えを伝えるため、田辺さんを招いたオンラインプレゼン大会のような場が編集部で設けられたのだが、これがなかなか大変だったことも明かしておく(いや、一番大変だったのはわれわれではなく、もちろん田辺さんなのだが)。担当記者たちが代弁する各社の「2040年のビジョン」が、今その会社が行っている事業や打ち出している価値観と地続きだと感じられる場合は問題ない。しかし、そうでない場合は、田辺さんから「どうしてそれを目指すんですか」「どんな背景でその言葉は出たんですか」といった鋭い突っ込みが入る。記者たちは担当企業の歴史や社風などを補足し、なんとか田辺さんの腹落ちを導こうと試みるものの、なかなか伝わらず言葉に詰まるという場面は正直何度もあった。

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