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コティが「ウエラ」や「OPI」などを擁するプロフェッショナル事業部を売却か 花王が買い手に浮上

 コティ(COTY)は投資銀行のクレディ・スイス(CREDIT SUISSE)を通じて、プロフェッショナル事業部の売却を検討している。同事業部の中にはヘアケアブランド「ウエラ(WELLA)」やヘアカラーブランド「クレオール(CLAIROL)」、ネイルブランド「OPI」、ヘアツールブランド「GHD」などが含まれる。なお、「ウエラ」と「クレオール」はサロンと小売りそれぞれに専用のラインを卸しており、どちらも売却の対象となる。また、2015年に買収したブラジルの化粧品企業、ハイパーマーカス(HYPERMARCUS)のビューティとパーソナル事業の売却も検討しているという。2つを足すと、19年の売上高は 27億ドル(約2916億円)に上ると見込まれている。「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)」紙によると、コティはこの売却で80億〜90億ドル(約8640億〜9720億円)を得るという。

 プロフェッショナル事業部は、16年にプロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)から買収して以来、シルヴィー・モロー(Sylvie Moreau)がプレジデントとして率いてきた。業界筋によると、ヘア事業は花王やヘンケル(HENKEL)が買い手として浮上しているという。オッド セキュリティーズ(ODD SECURITIES)のピエール・テグナー(Pierre Tegner)証券アナリストは「『ウエラ』は、過去に買い手候補として挙がっていたロレアル(L'OREAL)やヘンケル、ユニリーバ(UNILEVER)、バイヤスドルフ(BEIERSDORF)が興味を持つだろう」と語る。

 コティは売却によって得た資金を、負債の返済および株主への資金返却に当てる予定だ。コティは近年赤字が続いており、特に「カバーガール(COVERGIRL)」「リンメル(RIMMEL)」「ブルジョワ(BOURJOIS)」などを扱うコンシューマー事業部が苦戦している。同事業部の19年6月期決算における売り上げは前年比17.1%減の35億ドル(約3780億円)だった。ピエール・ロビー(Pierre Laubies)=コティ最高経営責任者は、売却によりフレグランス、メイクアップ、スキンケアに集中するほか、ビジネスの再建を目指すという。コティの筆頭株主であるJABの創業者兼会長のピーター・ハーフ(Peter Hart)は「プロフェッショナル事業部は好調で売り上げを伸ばしている一方で、フレグランス、メイクアップ、スキンケアを強化するという今後の成長戦略には含まれず、売却を検討している」とのコメントを発表している。

 ウオールストリートのアナリストは、売却が吉と出るか凶と出るか意見が別れているようだ。ニュースが発表されてからはコティの株価が15%ほど上昇した。シティ(CITI )銀行のウェンディ・ニコルソン(Wendy Nicolson)=アナリストは「プロフェッショナル事業部はコティにとって大きな増収源となっており、手放してしまうのはもったいない。その一方で、苦戦するコンシューマー事業部の復調のためには多大な時間と労力、資金を投じる必要があり、全く性質が異なるプロとコンシューマー事業を同時に抱えるより、コンシューマーに全力投球するのもメリットがあるだろう」と分析する。

 なお今後の体制に関して、HFC プレステージ ジャパン ウエラ プロフェッショナルは以下のようにコメントした。「売却が決まっても、ヘアサロンビジネスに対するわれわれのスタンスは変わらない。担当者が大きく変わることはないし、製品の流通も現状を継続していく予定だ。われわれはヘアサロンに特化した専門的なビジネスを行っており、常により成長できる環境で働くことを望んでいるため、スタッフのモチベーションも高まっている」(長島好秀・副代表兼ビジネスリレーションズ統括)と意欲を示した。