フォーカス

自社のテクノロジーをサービス化して新ビジネスの潮流に注目 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5「ショッピファイが『EC業界の黒船』となった理由」

読み解きポイント:自社で活用するテクノロジーをサービス化して、新たなビジネス拡大を図る

ニュースのポイント

カナダ発EC構築プラットフォーム企業のショッピファイ(SHOPIFY)が急成長。2018年の商品取扱高は411億ドル(約4兆3500億円)、時価総額も403億ドル(約4兆2700億円)を超えた。商品の3D表示、多言語対応などのグローバルでの機能に加え、多様な決済手段への対応といった日本向け独自サービスも提供。手軽にネットショップをオープンでき、多様な要望にも応えるためのカスタマイズ機能をウリに、アマゾンなどのマーケットプレイス型とは違う、業務支援プラットフォームとしての市場拡大を狙う。

CKRはこう読む!

「477億円」。ショッピファイが今月傘下に収めた倉庫自動化テック企業シックスリバーシステムズ(6 RIVER SYSTEMS)の買収金額です。

 シックスリバーシステムズの創業者は、アマゾンが12年に買収したキバ・システムズ(KIBA SYSTEMS。現アマゾン・ロボティクス)出身。アマゾンスピードに慣れてしまった今、テクノロジーを活用し、フルフィルメントをどう効率的に設計・運営するかが、ECビジネスにとって非常に重要なポイントとなっています。

 そこで今回は、「一企業によって最適化されたテクノロジーが、業界全体へ拡大する」動きについて考察したいと思います。

 アマゾンは、自社のフルフィルメントセンターにアマゾン・ロボティクスを導入。従業員が移動することなく、効率的に商品を出荷できる体制を整えています。カメラとマイク、センサーとAIを活用し、レジなしコンビニ「アマゾン ゴー(AMAZON GO)」も実現しました。

 今アマゾンの利益の稼ぎ頭であるAWS(Amazon Web Services)も、初めは自社インフラとして構築したサーバーの空いているリソースを他企業へ貸し出し、使用量に応じて課金した結果、クラウドサービスと呼ばれるようになったものです。「最新テクノロジーを自社で活用し、最適化する。そして他企業へ提供するためにサービス化して新たな市場を生み出す。利用企業からのフィードバックで、さらにサービスを強化する」という流れにあることが分かります。

 フルフィルメントを最適化するアマゾン・ロボティクスも、アマゾン ゴーの裏で動いている技術も今後、AWSのようにサービス化され、小売り企業に提供・拡大される可能性が高いでしょう。シックスリバーシステムズは、「人と協調するロボット」がコンセプト。倉庫の作業員の業務をサポートする機能を中心に据えており、導入企業が運用プロセスを変えずに効率化できることをウリにすることが予想されます。

 このような動きは、身体採寸の世界でも起こっています。アパレル大手ワールドが子会社化した米国オリジナル社のAI身体採寸技術「Bodygram(ボディグラム)」については、ファストファッション通販サイト「Shoplist」や「ユニクロ(UNIQLO)」が自社アプリに採用します。ボディグラムは新会社としてスピンオフしており、今後はさまざまな企業にサービスを提供し、機能強化を図り、プラットフォーム化していくでしょう。

 小売り企業が最適化したテクノロジーをサービス化して他企業へ提供するビジネスには、今後も注目です。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中