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「ユイマ ナカザト」がスパイバーとコラボ、全ルックで画期的サステナ素材

 「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」は、2019-20年秋冬コレクションでバイオテクノロジーを駆使した素材開発を行うスパイバー(SPIBER)とアートスタジオのザ・ユージーン・スタジオ(THE EUGENE STUDIO以下、ユージーン)とコラボレーションした作品を発表した。

 スパイバーと言えば、ゴールドウイン(GOLDWIN)などとの協業ブランド「ザ・ノース・フェイス・エスピードット(THE NORTH FACE SP)」がスタートしたばかり。その、エポックメイキングな素材作りで注目を集めている。ユージーンは寒川裕人が率いるスタジオで、今秋に国立新美術館でスタートする「カルティエ、時の結晶(CARTIER CRUSTALLIZATION OF TIME)」展の環境作りを担当。今回のショーでは希望を象徴する金色の粒子が天から地に降り注ぐ「ゴールドレイン(Goldrain)」作品を提供し、今回のコラボは正に、“今”を象徴するものになった。ショーの直後に、デザイナーの中里唯馬、関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役、寒川裕人ユージーン共同設立者に話を聞いた。

 このコラボレーションのきっかけは、中里がユージーンの作品展に出合ったのがきっかけ。共感を覚え、アクシス(AXIS)との対談相手にユージーンの寒川を選んだ。そして、その出合いがスパイバーにつながった。中里は、「クチュール、サイエンス、アートと全く異なるカテゴリーだが、共通の思想があると感じた。希望ある未来を見据えて分野を超えたコラボがしたかった」と話す。今回のコレクションでは、全ルックでスパイバーが開発した人工合成タンパク質素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」素材を使用し手編みのニットなど対極にあるものとミックスしたコレクションを発表した。レザーもサステイナブルなものを採用。色は、体の一部=セカンドスキンを意識し、さまざまな人種の肌の色に合う6色展開にしたという。

 寒川ユージーン共同設立者は「クリティカルデザイン(デザインは従来の機能的で問題解決するものからもっと思考的で挑発的なものであるべき)という意味で、オートクチュールは可能性があると思った。中里さんには祝福されるべき未来というビジョンがあり、親和性が高かったので今回のコラボが生まれた」と述べた。スパイバーとは2014年頃から社員を通して交流が始まったという。そして、寒川ユージーン共同設立者を介して3社のコラボレーションが成立した。寒川代表は、「“バース=誕生”というテーマにふさわしい空間、楽曲、天気に恵まれたショーになった」という。

 関山スパイバー代表は、「中里さんは本社のある山形県鶴岡市まで来てくれた。ファッションは華やかなイメージがあるが、まるで研究者のように深く考えるデザイナーだ。サステイナビリティーという観点でアパレルはこうあるべきという考えが一致したのでコラボした」とコメント。スパイバーは、「サカイ(SACAI)」の2019-20秋冬コレクションでも素材提供をしており、コレクション関係の取り組みが増えているという。「素材は広く普及させないと環境に対するインパクトが出せない。どんどん露出していきたい」と関山スパイバー代表。

 3人とも同じ世代ということもあり、一致団結してコラボに取り組んで約3カ月という短期間でプロジェクトを完成させたという。今後も、同世代が率いる3社によるコラボレーションは継続していくそうだ。クチュールという手仕事とサイエンステクノロジー、アートという異業種コラボから発信するサステイナビリティーに注目したい。