ファッション

連載「今、デザイナーができること」Vol.30 中里唯馬「日常を豊かにする次世代の新たな衣服の在り方を発信」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で不透明な状況が続いている。そんなときに、ファッションは何ができるのか。生産者から販売員まで業界全体が不安を抱えている状況に、ファッションデザイナーたちは何を思うのか。日々変化する状況に対応しながら、それでもファッションの力を信じ続けるデザイナーたちの声を連載で紹介する。今回は、2016年からパリ・オートクチュール・ファッション・ウィーク公式ゲストデザイナーとしてコレクションを発表している「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」の中里唯馬デザイナーが登場。

YUIMA NAKAZATO
中里唯馬

Q 不安が続く状況下で、ファッションデザイナーが人々にできることは?

 こんなにも世界的に難しい状況下で、ファッションブランドとして社会に対して何ができるのだろうかと、自問自答を繰り返し、もどかしい思いを抱えながら過ごしている。そんな時に、世界中でミュージシャンたちが自宅から世界へダイレクトに音楽を発信している姿に感動し、私たちにも何かできることがあるのではないかと、前向きに考えるようになった。

 そうして辿り着いた1つの答えが「フェイス トゥ フェイス(Face to Face)」。このプロジェクトは、従来お客さまと直接対話を重ねながら採寸・デザインするオーダーメードの服作りを、自宅からスマートフォン1つで、世界中どこに住んでいる方でも無料で提供できるサービス。

 私たちは、1着1着手作業で服を制作しているため、そもそもたくさんの服を生産することはできないが、これらの新しい試み自体が、次なる時代の新たな衣服の在り方のヒントやインスピレーションとして多くの人に届けられたらと、このプロジェクトをスタートした。

 たとえ画面越しでも「少しいい服を着て接してみようかな」というちょっとした変化が周囲の人を明るくし、自分自身の日常も豊かになる。人と人との間にファッションがあり、そこを少しでも良くしていくことが、ファッションデザイナーにできる役割だと改めて感じている。

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