フォーカス

連載「今、デザイナーができること」Vol.29 林飛鳥「まだデザイナーが最前線に立つ時じゃない。自分のターンに全力を尽くす」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で不透明な状況が続いている。そんなときに、ファッションは何ができるのか。生産者から販売員まで業界全体が不安を抱えている状況に、ファッションデザイナーたちは何を思うのか。日々変化する状況に対応しながら、それでもファッションの力を信じ続けるデザイナーたちの声を連載で紹介する。今回は「ネオンサイン(NEONSIGN)」の林飛鳥デザイナーが、これからのモノ作りのスタンスを冷静に語る。

NEONSIGN
林飛鳥

Q.今、デザイナーができることは?

A.東京がゴーストタウンになり始めた4月中ごろ、感染者の増加が止まらない状況を踏まえて店頭に立つ販売員へマスクを無料配布した。彼らの心労を少しでも緩和することと、他人へ感染させるリスクが高いという事実を再認識してもらうことが目的だった。しかし、医療専門家でもない自分がリスクを顧みずにとった行動でもあり、本当に正しかったのかどうか今でも疑問に思っている。

結論から言うと、自分にできることは何もない。しかしこれはネガティブな考えではなく、職業によって活躍できる分野は違い、今はまだデザイナーが最前線に立つタイミングではないと思っているだけだ。自分のターンが周ってきたときに全力を尽くす。それが一番の社会貢献になるはずだ。

コロナ禍にあっても僕自身がやりたいことや目的は変わらない。変えたところで良い作用も生まれない。ある程度のオンライン強化は必要だが、ファッションはオンラインだけでは絶対に成立しないからそこに執着する必要はない。焦らず、世の状況を読み解きながら適切なサービスを実施していく。