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ゴールドウインがスパイバーと協業ブランド始動 開発に4年、“ムーンパーカ”をついに発売

 ゴールドウインが6月20日、人工クモの糸素材“クモノス(QMONOS)”で知られるベンチャー企業スパイバーとのコラボレーションブランド「ザ・ノース・フェイス エスピードット(THE NORTH FACE SP.)」を発表した。

 ゴールドウインとスパイバーは、2015年から“クモノス”を使用したダウンジャケット“ムーンパーカ(MOON PARKA)”の開発のため協業をスタートした。当初は16年内の発売を予定していたが、品質安定性向上や量産体制の整備問題などから製品化を17年以降に延期。しかし、耐水性を改善した新規タンパク質素材の開発によって課題だった品質安定性が向上し、19年11月に「ザ・ノース・フェイス エスピードット」から発売することが決定した。価格などの詳細は8月に発表される。

 そして、「タンパク質を工業材料としてどう使いこなすかは、人類的な課題だ。4年間で多くの課題を克服し、遺伝子合成や紡糸、発酵などの分野で188の特許を出願し、ようやくここまでこぎつけた」(関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役)と、“クモノス”と並行して開発していた構造タンパク質素材を使用したTシャツを、「ザ・ノース・フェイス エスピードット」初のアイテムとして8月に発売する。

 “地球の均衡”を意味する“プラネタリー・エクイリブリアム ティー(PLANETARY EQUILIBRIUM TEE)”と名付けられたTシャツは、植物由来のセルロースである“コットン”と、スパイバーが開発した微生物由来のタンパク質“ブリュード・プロテイン”を、82.5:17.5の比率で配合し製造している。この82.5:17.5の比率は、地球上に存在する生物を100とした時の植物(82.5)と動物・微生物(17.5)が占める割合にちなんだもの。Tシャツの前身頃の左下には、この配合の割合などがプリントされた栄養成分表示がモチーフのビッグタグが配されている。また、生地はしっとりとした触り心地のヘビーウエイトで、縫い目が体に当たらないような縫製になっている。

 価格は2万5000円で、250着限定で販売する。ユニセックスのS、M、L、XLの4サイズを用意し、カラーはブラックのみ。6月20日〜7月20日の間に特設サイトで抽選受付を行い、当選者は8月下旬から東京・原宿の「ザ・ノース・フェイス オルター」店頭で受け取る。

 なおスパイバーは今月、21年から稼働予定の工場の建設を開始。渡辺貴生ゴールドウイン副社長は、「25年ごろには、この“構造タンパク質素材”をアウターやTシャツだけでなく全身のアイテムに広げたい。それまで人工皮革に変わるものや、防水・透湿素材を備えた新たなタンパク質素材の開発も進み、素材が持つ可能性を市場に示すことができるはず」と意気込んだ。

 クモの糸に着想した“クモノス”は、原料に石油を使わない人工合成タンパク質素材で、非常に優れた耐久性や伸縮性を持ちながら再資源化も可能という、素材業界にとって50年ぶりの大発明といわれる画期的な素材だ。